競合ひしめく「AIエージェント」にあえて挑戦、なぜ? ドコモに聞く:キャラも人気の「my daiz」(1/3 ページ)
NTTドコモが5月末、AIを活用した音声対話サービス「my daiz」をリリースした。Apple、Amazon、Googleなどの競合がひしめくこの分野にあえて参入したのはなぜか。開発担当者に話を聞いた。
NTTドコモは5月30日に、AI(人工知能)を活用した音声対話サービス「my daiz(マイデイズ)」をリリースした。アプリを起動して「今日の天気は?」「『dポイント』残高を教えて」などと話し掛けると回答し、ユーザーの日常生活をサポートする機能を持つ。
「先読み機能」とパートナー企業との連携が特徴
最大の特徴は、ユーザーのスマホ使用履歴や行動履歴を学習し、パーソナライズされた会話を行う「先読み通知」機能を持つ点だ(利用には月額税別100円が必要)。起床時間、外出時間、帰宅時間などを把握し、「今日は傘が必要かもしれませんよ」などとAI側から話し掛けてくれるのだ。
日本プロサッカーリーグ、ぐるなび、ヤマト運輸など33社のパートナー企業・自治体とも提携しており、「鹿島アントラーズ、勝ってる?」と聞くと「前半を終えて1-0です」などと答える機能も持つ。「ぐるなび」に掲載されているレストランを口頭で予約することも可能だ。
契約する携帯電話事業者(キャリア)を問わず利用可能で、アプリとしてダウンロードできる。入手すると、スマホの画面上に白くて四角いキャラクターが登場する。キャラは天気の話をすると太陽の形になったり、交通情報を聞くと電車の形になったりと、話題に応じて形を変えるなど、親しみやすい点も魅力だ。
開発のワケを生みの親に聞いた
ただ、音声対話サービスの分野では、米Appleの「Siri」、米Amazon.comの「Amazon Alexa」、米Googleの「Google Assistant」など協力なライバルがひしめいている。ドコモはなぜ、競合がひしめく同分野にあえて参入したのか。勝算はあるのか――。
開発を手掛けたコンシューマビジネス推進部 エージェントサービス担当部長の関崎宜史氏(崎はたちさき)と、第一エージェントサービス担当課長の近藤佳代子氏に、開発の狙いと展望を聞いた。
いまこそ再挑戦する時だ
――KDDIやソフトバンクといったライバル企業は、オリジナルのAIエージェントをまだ展開していない。ドコモが先陣を切ってこの分野に参入した理由は。
関崎氏: 当社はこれまでも対話機能の開発に注力し、雑談や機能の呼び出しに応じるサービス「iコンシェル」「しゃべってコンシェル」を計15年間運営してきた。AIこそ使っていなかったが、ユーザーに有益な情報を対話形式で届けるノウハウはかなり蓄積していた。
現在はAIが進歩し、AIを活用した音声対話サービスに対する市場の期待感が高まっている。この分野に長く携わってきた企業として、いまこそ過去の経験を生かしてサービスを刷新し、市場に再挑戦すべきだと考えた。
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