IoT・AIで工場の故障を検知 KDDIが製造業の「生産性アップ」を支援:センサー提供と分析をワンストップで
KDDIが、IoTを活用して工場の生産設備の状態をチェックできるサービスを始める。AIが最適な分析手法を学習し、成長するオプションも設ける。導入企業のコスト削減や生産性向上をサポートする。
KDDIは8月上旬から、IoT(モノのインターネット)の技術を活用して工場の生産設備の状態をチェックできるサービス「KDDI IoTクラウド 〜工場パッケージ〜」を始める。センサーの設置、データの蓄積・分析、故障の予知――の3工程をワンストップで提供する点が特徴で、導入企業のコスト削減や生産性向上をサポートする。
これまで勘と経験で行っていた故障の検知を、テクノロジーの力で簡略化する点が特徴。生産設備の温度、振動、電気の流れなどの状況をセンサーが取得し、クラウド上に集約。専用のソフトウェアで分析する。数値が一定の水準を超えた場合はメールなどのアラートで通知する。
AIを活用できるオプションも
分析には、KDDIとアクセンチュアの合弁会社ARISE analyticsのソフトを活用。AI(人工知能)が最適な分析手法を自動で考案するオプションなども設ける。アラートが出た場合は、スタッフが機械の状況を確かめ、異常の有無をAIにフィードバックすることで予知の精度を高められる。
KDDI ビジネスIoT企画部の原田圭吾部長は「現在のIoTの国内市場規模は7000億円に上り、その大半を製造業向け製品が占めている。こうしたトレンドを踏まえた施策だ」と説明。
「『点検工数を削減したい』『生産設備の状況を知りたい』というニーズに応えられるだけでなく、分析アルゴリズムが自動で賢くなる点がポイントだ」(原田部長)という。
ARISE analytics サイエンスディビジョンの堀越真映氏は「生産設備の中には、起動直後に一時的に加熱・振動するものもある。通常の故障診断システムでは、これが故障の予兆なのかどうか判定が難しいが、AIに状況をフィードバックすることで最適な判断を下せるようになる」と自信を見せる。
一括提供する点が強み
提供する機器の種類は、振動センサー、温度センサー、電流センサー、流量センサー、レベルセンサー、ロガーなど多岐にわたる。一般的なIoTサービスは「センサー、通信サービス、分析サービスの提供企業がそれぞれ異なっており、顧客企業が個別に契約するケースが多い」(原田部長)というが、KDDIはセンサーを自社で仕入れ、全工程を一括で提供することで差別化を図る。
契約期間は2年から。クラウド使用料は1ID当たり月額5万円。AIを活用する場合は、1ID当たり月額15万円の追加料金が必要(価格は全て税別)。
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