「5」への強いこだわりで急成長 ゴーゴーカレーの巧妙な戦略:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/5 ページ)
2004年に1号店をオープンさせてからカレー専門店として国内2位の地位に躍り出たゴーゴーカレー。急成長した背景にあったのは、考え抜かれたビジネスモデルだけでなく、松井秀喜選手や「5」への強いこだわりがあった。
金沢カレーに加えた改良
こうして生まれた金沢カレーに、注文が入ってからカツを揚げるスタイルを導入し、サクサクのロースカツやチキンカツを提供している。多くの店でオープンキッチンを採用しており、顧客の見ている前で揚げるのも特徴だ。
忙しいランチタイムをゴーゴータイムと称して、ロースカツカレーとチキンカツカレーを100円引きにしているので、ほとんどの顧客がこの2品のどちらかしか注文しない。これは、巧妙なやり方で、とても効率的だ。
夜の時間帯は、ロースカツ、チキンカツ、エビフライ、ゆで卵、ウインナーがトッピングされた「メジャーカレー」(1000円)をボリュームたっぷりでお得な価格で提供している。この他、ディナータイムには、エビフライカレーといった華のあるメニューを売るスタイルに切り替えており、うまく店を回している。
ゴーゴーカレーのサイズは、特小のソフトサイズ、小のヘルシークラス、中のエコノミークラス、大のビジネスクラス、特大のファーストクラスと5段階あり、それぞれ価格が異なり、あまり量が食べられない人も、大食漢も満足できるシステムとなっている。最近、女性客が増えた背景には特小、小サイズの展開も寄与している。
キャベツはお代わり自由となっており、店員に提供してもらうスタイルの店と、セルフスタイルの店と、両方のスタイルを導入している店がある。顧客からすれば野菜不足を感じる時に利用できるし、ご飯を大盛にしなくてもキャベツでお腹を満たせるメリットがある。
徹底したコスト削減策
食券は券売機で購入するスタイルで、福神漬、マヨネーズ、ソース、水はセルフサービスとなっており、徹底的なコスト削減が図られている。カレーソースは工場で製造されているので、店員の主な仕事は、カツを揚げ、ご飯を炊いて、盛り付けて提供するだけ。簡素化されているので、経験の少ないアルバイトで回せるようになっている。
近年は他業種とのコラボ企画を進めており、18年1月からゴーゴーカレー監修のカップ麺「ゴーゴーカレー カレーヌードル」(216円)が、東洋水産から全国のローソン限定で発売された。
5月には名古屋市の元祖あんかけスパゲティ「ヨコイ」55周年を記念して、コラボレトルト2種を発売。通販中心に販売されている。スマホ向けゲーム「エレメンタルストーリー」とのコラボでは、5月5日から7月4日まで、店頭に張り出されたポスターのQRコードからアクセスすることで、限定アイテムを獲得できるなどの特典を付与した。
このように順調に発展しているゴーゴーカレーではあるが、まだ全国15の都道府県にしか店舗がない。大阪、名古屋もこれからだ。
新宿に5店、金沢市内に7店もあるように、特定の地域では非常に強い。このような先例にならってコアなファンが多いドミナントを増やしていけば、目標とするという555店への道も開けるのではないだろうか。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
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