「5」への強いこだわりで急成長 ゴーゴーカレーの巧妙な戦略:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/5 ページ)
2004年に1号店をオープンさせてからカレー専門店として国内2位の地位に躍り出たゴーゴーカレー。急成長した背景にあったのは、考え抜かれたビジネスモデルだけでなく、松井秀喜選手や「5」への強いこだわりがあった。
ステンレス製の皿に盛ってフォークで食べる理由
71年にカレーライスのタナカは、地元金融機関に勤めていた岡田隆氏との共同経営に移行し、「ターバンカレー」に改称。元からあった高岡町店は程なく工場となり、新店の片町店(いずれも金沢市)で営業するようになった。2005年に片町のターバンカレー本店は金沢市役所と香林坊交差点の間にある広坂に移転している。
ターバンカレーから派生して、東京の新宿で創業したのがゴーゴーカレーということになる。
そして、共同経営はうまくいかず、73年に田中氏が新しく郊外の石川県野々市市で立ち上げたのが「タナカのターバン」。分裂の際に田中氏はレシピを大きく変更したという。96年にこの店は、「ターバンカレー」が商標登録された影響で、カレーのチャンピオンに改称して現在に至っている。
この際に、赤と黄色を全面的に打ち出す主張の強い店舗改装を行った。これは妻の博子氏が傾倒していた風水を参考にしたものだ。
赤と黄色のインパクトある色彩は、ゴーゴーカレーにも採用されている。つまり、洋食タナカのレシピを継承している店が、金沢カレーの本線ということになるだろう。
金沢カレーがステンレスの皿に盛られるのは、一般の飲食店よりも慌ただしくなるので、割れにくく丈夫な食器が必要とされたからだ。カレーのチャンピオン本店ではピークタイムの提供時間は注文が入ってから3〜5分、顧客の滞在時間は15〜20分とのことだ。
また、スプーンではなくてフォークで提供するのは、かつて硬かったトンカツの豚肉を刺すためだ。また、カレーの粘度も高かったので、フォークで食べても支障がなかった。現在、豚肉の肉質は軟らかいものに改善されているが、かつての名残として定着したフォークを使っている。
また、カレーの上にカツを載せ、ソースをかけてキャベツを添えるスタイルは、トンカツ定食とカレーライスを合わせたもので、カレーのチャンピオンの前身が洋食屋だったからこその発想であった。
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