マミートラックとは無縁、ファンケルの管理職ワーママの仕事術:女性が活躍する職場(2/4 ページ)
創業以来、女性の力を生かすことに努めてきたファンケルは、現在も社員の8割が女性である。では、同社の女性管理職はどのような働き方をしているのだろうか。子育てをしながら部長として38人のメンバーを率いる山本真帆さんに話を聞いた。
部長が残業しないことで起きた変化
ファンケルの執行役員で人事部長を務める永坂順二さんによると、ここ数年で出産する女性社員の数が大きく増え、会社全体としても仕事の仕方を工夫しないと業務が回らないという状況になってきたという。また、会社としては子育て中の女性にもキャリアアップを望んでいるが、当人たちは「課長職以上はフルタイムで働いていないと難しい、子育てしながら時短勤務でその役割は果たせない」と、昇進を望まないケースが多かった。それを解消する方法の1つとして、育児や介護を理由とした在宅勤務を許可している。
「時短だからといってキャリアを諦めずにパフォーマンスを発揮してもらいたいという意図で、『こういう制度があればできるんじゃないか?』と、在宅勤務をスタートさせました」(永坂さん)
山本さんの部署も38人中29人が女性で、その半数が子育て中のため、在宅勤務制度の活用度は高い。しかし、山本さん自身は在宅勤務をすることはないそうだ。
「私の仕事は、会社に来て、面と向かってメンバーの相談に乗るというような業務が多く、在宅ではやりにくいんです」(山本さん)
定時の中でいかにコミュニケーションをとるかが勝負、という山本さんが強く意識するのは、会議の時間を伸ばさないことと、スピーディに判断することだ。
「会議の終了時間は厳守です。時間内に終わらない場合は、その場で課題を与えて次につなげます。それと、なるべくその場で判断をするようにしています。判断を先延ばしにしても、処理しきれないので」(山本さん)
6時以降は山本さんがいないと分かっているため、山本さんの承認が必要な書類が早めに回ってくるようになるなど、他のメンバーも時間を意識して仕事をするようになり、部全体のスピード感も上がったという。
残業をしないことで課題があるとしたら、緊急で顧客対応をする必要があるときに責任者として立ち会えない、ということ。しかし、それも他のメンバーにしっかり託すという形で何とかなっているそうだ。むしろ上司に時間的制約がある方が、後進の育成や組織力の強化が進むのかもしれない。
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