スマホの画像を印刷できる、「プリントス」はなぜ売れたのか:水曜インタビュー劇場(3カ月10万台公演)(1/6 ページ)
スマホで撮影した写真を印刷することができる「Printoss(プリントス)」が売れている。2017年12月、タカラトミーが発売したところ、すぐに品薄状態に。この商品の最大の特徴は「完全アナログ」なこと。時代に逆行しているような商品は、なぜ消費者に支持されたのか。
スマートフォンで撮影した写真を簡単に印刷できる「Printoss(プリントス)」(3700円、税別)をご存じだろうか。2017年12月、タカラトミーが発売したところ、すぐに火が付いた。3カ月で10万台を出荷したものの、品薄状態に。この勢いは国内だけにとどまらず、6月末からは世界12カ国で順次発売し、国内外合わせて年間100万台の出荷を目標にしているのだ。
プリントスを聞いたことも触ったこともない人に、簡単に紹介しよう。「スマホの写真をプリントできる」と聞くと、「そこそこのテクノロジーが詰め込まれているんでしょ」と思われたかもしれないが、実は完全アナログな商品である。ネットもいらない、アプリもいらない、ケーブルもいらない、電池もいらない。インスタントカメラ用のフィルムにスマホの画面を印刷するだけなのだ。
用意するのは3つ。プリントスの本体、スマホ、富士フイルムのインスタントフィルム(チェキ用)だけである。使い方も簡単で、(1)本体のフタを開けて、チェキ用のフィルムをセットする(2)スマホをフレームの上にのせてシャッターボタンを押す(3)つまみをぐるぐる回してフィルムを取り出す――。
以上である。インスタントフィルムなので、あとは絵が浮かび上がるのを待つだけ。個人的な感想であるが、シンプルで面白い。なにが面白いのかというと、デジタルな写真がアナログの風合いで浮かび上がってくるので、レトロ感を楽しむことができるのだ。
ただ、疑問も残る。スマホで撮った画像は、コンビニなどに行けば印刷することができる。家でもプリンターを使えばプリントできる。いや、友だちに渡すのであれば、メールで送ることができる。ケチな話ではあるが、フィルムは1枚60〜70円ほどするのに、なぜプリントスは売れたのか。また、ありそうでなかったとも言える商品はどのようにして開発したのか。タカラトミーでプリントスの開発に携わった土肥雅浩さんに聞いた。聞き手は、土肥義則。
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