スノーピークの社員がテントの中で会議する意味:キャンプしながら働く(2/3 ページ)
新潟にある約5万坪のキャンプ場に本社オフィスを併設するスノーピーク。テントの中、あるいは焚き火を囲んでミーティングを行うような同社の働き方が今注目されていて、既に取り入れている企業も出てきているのだ。
アウトドアの要素を取り入れて働く
アウトドアの要素を取り入れた働き方は、どのような効果があるのだろう。
スノーピークでは必ずしもテントで会議する決まりはないのだが、そのときの気分やミーティングの内容などによって場所を使い分けているという。新オフィスができたタイミングでフリーアドレス制を導入しているので、実際には会議に限らず、どこで働いてもいいルールになっている。
例えば、オフィス内に設置したテントを利用する場合、靴を脱ぎ、車座になってミーティングをすることで、会議室のテーブルの周りに座ってカッチリやるよりも柔軟な意見が出やすいという。「プロジェクトのスタートのミーティングなどは、そうした場の方が活発な意見交換ができます」と青柳氏は体験を語る。
屋外の場合は異なるメリットがあるそうだ。例えば、鳥の鳴き声や風、水の流れなど常に何かの音がある状態なので、室内よりもかえって集中できるという。加えて、シーンとなることがなく、参加者が気まずい雰囲気にならない。「決議をとるときなど、逆に静粛なムードを作りたい場合には会議室を使うことがあります」と青柳氏。
こうしたスタイルを取り込むことで、どういった変化が生まれたのだろうか。以前の本社オフィスは部署ごとに部屋が分かれていたので、社員間のコミュニケーションはその当時と比べると格段に改善された。その結果、いちいち会議室を事前予約してミーティングするといったことも減り、仕事の進め方にスピード感が生まれたそうだ。
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