NewsPicksの広告「さよなら、おっさん」はいけない。「こんにちは」である:常見陽平のサラリーマン研究所(3/3 ページ)
意識高い系ニュースキュレーションサービス「NewsPicks」が、ちょっと珍妙な広告を出していた。日本経済新聞に、カラー全15段で「さよなら、おっさん。」と書いていたのである。刺激的なキャッチコピーであるが、この言葉に対して、筆者の常見陽平氏は違和感を覚えたという。なぜかというと……。
若者よ、「こんにちは、おっさん」で行け!
最後に、このコラムを読んでいる若者にアドバイスしたい。おっさんを敵視するNewsPicksの広告のようなスタンスではいけない。「さよなら、おっさん」というのは、人生の楽しみを90%以上放棄しているともいえる。いま、必要な姿勢は「こんにちは、おっさん」ではないか。
おっさんは、人生の先輩である。人はおっさんに生まれるのではない、おっさんになるのだ。これまでの人生、大事にしてきたことなど、人生の先輩として敬い、意見を聞くべきである。
おっさんは駄目だ、意見が合わないと決めつけるのではなく、なぜそう考えるのかなどを深掘りして考えるべきである。また、自分も愛されるおっさんになるにはどうすればいいかも考えたい。
「こんにちは、おっさん」運動を簡単に始める方法はあるのか。例えば、社内または取引先のおっさんに興味を持てばいいのである。なぜ、あのおっさんは○○と言ったのか。なぜ、あのおっさんは○○といった行動をしたのか。ちょっとした言動に興味を持つことで、読者の中に何かが芽生えるはずである。
なお、この「こんにちは、おっさん」ムーブメントを盛り上げるために、同世代の著者、赤木智弘氏、おおたとしまさ氏などとイベントを開催することになった。詳細を待て。「おっさんは、いいぞぉ」(『北斗の拳』のアミバ様風に読むこと)。
常見陽平のプロフィール:
1974年生まれ。身長175センチ、体重85キロ。札幌市出身。一橋大学商学部卒。同大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、コンサルティング会社、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。長時間の残業、休日出勤、接待、宴会芸、異動、出向、転勤、過労・メンヘルなど真性「社畜」経験の持ち主。「働き方」をテーマに執筆、研究に没頭中。著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』『エヴァンゲリオン化する社会』(ともに日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)『普通に働け』(イースト・プレス)など。
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今回のテーマは「フリーランス」。サラリーマンからフリーランスになり、年収を3倍にした経験がある私が、そのノウハウを惜しげもなく公にするぞ。
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