結婚式プランナー、ITと研修を“マリアージュ”してみた:HR Techは人事にとって魔法か、それとも脅威か(1/3 ページ)
ウエディングの会社がプランナー育成のため動画共有の研修システムを導入。良い接客を評価するための基準を作るなどアナログな部分で奮闘している。
〜HR Techは人事の現場で本当に「使える」のか〜:
ここ数年、人材の採用や管理、評価、育成などにITを活用したHR Techが増えている。人事が手で入力したり、膨大なデータを直に見て判断したような作業をプログラムが代行。AI(人工知能)が人材の「評価」まで行うサービスも登場している。
ただ、人事とはもともと「人対人」のアナログな仕事だったはず。デジタルを駆使するHR Techが果たしてどこまで役に立つのか。あるいは使えすぎて人間の仕事を奪わないか。最前線を追った。
デジタルや効率化といった言葉から何となく縁遠く見える仕事、ウエディング業界。新郎新婦の希望を対面でしっかり聞き、失敗できない結婚式の進行に神経をとがらす。一生に一度の感動を演出するにはハイテクより人の手が似合う気もする。
ベテランが若手にやり方を押し付ける
そんなウエディング業界で、ITを駆使した人事サービスを社内に根付かせようとしている企業がある。彼らにはHR Techを必要とする切実な理由があった。アナログなプランナーたちは、どうデジタルと向き合ったのか。
「プランナーが育たない。これは教える側に問題があるのでは」。ウエディング事業を展開するポジティブドリームパーソンズ(東京都渋谷区)。約2年前、全国のセールスを取りまとめる部署に所属する坂本真紀さんは悩んでいた。
若者の非婚化などで先細るウエディング業界。坂本さんも売り上げ巻き返しのためプランナーの質の向上を模索したが、現場では指導役のプランナーのスキルが若手にうまく伝わっていないことに気づいた。
セールス面で優秀なプランナーが必ずしも指導上手な訳ではない。「うちで活躍するプランナーは個性が際立っている人が多い。その個性は必ずしも教えられる側と合うわけではない。私たち指導役が自分のやり方を押し付けている面もあった」(坂本さん)。
そんな時に坂本さんが出会ったのが、ベンチャー企業Co-Growth(東京都千代田区)が開発した動画共有型の研修システム「リフレクトル」だった。
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