結婚式プランナー、ITと研修を“マリアージュ”してみた:HR Techは人事にとって魔法か、それとも脅威か(3/3 ページ)
ウエディングの会社がプランナー育成のため動画共有の研修システムを導入。良い接客を評価するための基準を作るなどアナログな部分で奮闘している。
「アナログな部分」の定義が重要
そこで、このカウンセリングの良しあしを図る9つの項目を策定。例えば「どの(大きさの)部屋にしますか」という質問。表向きは出席者数の把握だが、真の目的は親族や友人、会社などどのカテゴリーの人が多く来るかを聞き出し適切な雰囲気の式にすること。「ここを聞き出せば何とか式を作れるくらい重要な評価ポイント」(坂本さん)。
若手プランナーは新郎新婦役の社員を相手にこのカウンセリングを練習。撮った動画をリフレクトルで見た指導役が「何で親族や友人、会社の人の人数を聞かなかったの?」などと指摘して教えることができる。
評価基準も定まったことから、同社は16年10月にリフレクトルをまず関東圏の式場で導入。しかし、期待ほどの成果は出なかった。「いろんなところでトレーニングは行われているのに若手が育っていない。指導役が評価項目を押し付けてしまうのが良くないようだ」(坂本さん)
そこで、今注力しているのが指導役のプランナーを評価するための「教え方」の基準作り。坂本さんらは現在、指導役の人からその基準のもとになる教え方の成功、失敗例を聞き取っている。「非常にアナログだがあくまで全員に聞く。優秀な人は意外とみんな同じことを言う」(坂本さん)。
17年12月からは全国の会場でリフレクトルを導入。道半ばだが、最近ではベテランプランナーの客への上手な提案方法を動画からどん欲に学ぶ若手も増えるなど、坂本さんは手応えを感じつつある。
一連のリフレクトル導入で、同社が最も気を付けてきたのはアナログな「接客や教え方のコツ集め」。運営側である佐々木社長も「人の組織はあくまでアナログ。これを効率的にするためにHR Techが使われる」と指摘。「こうしたアナログな部分をまずしっかり定義して、デジタルの技術と組み合わせないとうまくいかない」と説く。
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