過去最高、それでも足りない外国人労働者:外国人就労に変化の兆し(2/3 ページ)
政府は人手不足が深刻な農業など5分野を対象として、新たな在留資格を創設する。これにより外国人就労のハードルは大きく下がった。しかし……。
外国人就労の「領域」を議論
外国人労働者の就労拡大を巡る議論は、高度外国人材とそれ以外の人材とで検討課題が異なる。
受入れ体制構築の具体化を
高度外国人材については、国内への流入が国際的に見て少ないことが課題である。2010年時点の総人口に占める外国生まれの高度人材(大学教育修了程度)の割合は、他の先進国が10%を越えるのに対して日本は1.0%に過ぎず、国際的に見ても極めて低い(図表3)。
スイスのビジネススクール国際経営開発研究所が発表した世界人材ランキングでは、世界の高度人材が魅力的と感じる国別ランキングにおいて、日本は63カ国中51位と驚くほど低い位置にあった(図表4)。
また、高度外国人材の卵である留学生に関しては、日本で就職したいという彼らの要望に十分応えることができていない状況だ。
在留資格で見た日本の高度外国人材(*1)はさまざまな取り組みの結果、直近5年間で17.7倍(*2)と大きく増加している。しかし、その水準についてはまだ満足できる状況にはない。高度外国人材をさらに誘致していくためには、これまでの施策を強化することは勿論のこと、社会全体で彼らを受け入れる体制を整えていく必要がある。国民全体の意思形成を促し、具体的な取り組みへと昇華させることが求められている。
外国人就労の門戸開放を
高度外国人材以外の人材については、基本的に就労が認められていない。しかし、既に人手不足状態にある産業や中小零細企業、それらに依存する地域などでは、もはや外国人材抜きに経済活動を維持していくことは困難となっている。
現実が外国人労働者を前提としているにも関わらず、この領域における就労拡大を巡る議論は進んでこなかった。今回の骨太の方針で5分野の開放が決まる以前は、介護福祉士の資格を有する高度外国人材に介護分野が開放された程度であった。外国人を必要とする領域は拡大しており、その他の分野においても門戸を開くことを検討していく必要があるだろう。
*1 高度外国人材は、「高度専門職」(1号・2号)および「特定活動」の在留者と定義している。
*2 出展:未来投資会議 構造改革徹底推進会合 第2回資料
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