キユーピーのマヨネーズを出す「穴」 3年かけて3つに増やす深い訳:狙うはブランドの“若返り”(1/2 ページ)
キユーピーが一部のマヨネーズのキャップの穴を1つから3つに増やす。かける際の楽しさや料理の見栄えを良くすることで30〜40代にアピールする。
キユーピーはマヨネーズの容器についているキャップの穴を1つから3つにする。350グラム入り商品のみで8月3日以降、全国で順次出荷する。従来の「1つ穴」に比べて今回の「3つ穴」はサイズも小さくなっており、より細いマヨネーズの“3本線”がサラダなどの上に描けるようになる。
味などの改良に比べて一見ささいな容器の変更。しかし同社はこの容器の改良に踏み切る前に約3年間、綿密な消費者調査を行っていた。キユーピーがここまで「穴」にこだわる理由とは?
子どもに「マヨネーズをかける楽しさ」アピール
同社がキャップの穴の変更に着手したのは2015年。調味料部でマヨネーズ・マヨ類チームのリーダーを務める谷川和正さんによると、実は現在のキャップの穴は容器に2種類付いている。赤いキャップに付いている「1つ穴」と、キャップを外すと使える星形の穴。「恐らく半数以上のユーザーが『1つ穴』を使っている」(谷川さん)。この穴を3つに増やそうと考えた。
谷川さんによるとキャップの穴を増やす理由は2つ。「まず小さい子どもがマヨネーズを料理にかける際に楽しめるようになると考えた」(谷川さん)。オムライスにケチャップで字を書くように、子どもが白いマヨネーズで模様を料理の上に描いてもらうことでマヨネーズの味だけでなく「かける楽しさ」もアピールするという。
2つ目は、比較的若い女性が料理に求める“おしゃれさ”の演出だ。最近は「インスタ映え」に代表されるように見栄えの良い料理を作ってSNSにアップする人が増えている。「普通のサラダにこのキャップでマヨネーズをかければ『カフェ飯』のようにおしゃれに見える」(谷川さん)。お好み焼きなどにかければ簡単に白い網目の模様ができるこのキャップで、インスタ映えも狙っていくという。
15年春にまずは450グラム入り商品に「おまけ」として試作品の3つ穴キャップを付けた。以降、3年間にわたって一部商品をこのキャップに変えるなどの試行や消費者へのアンケートなどを繰り返し、市場調査に努めた。
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