大和証券Gが実践、ベテラン社員が活躍し続けるための経営改革とは?:メタボ指導がきっかけ(2/2 ページ)
大和証券グループ本社は2008年度から本格的な健康経営をスタート。労働人口が減り続ける中、とりわけベテラン社員の活躍がますます重要になるという課題認識があったという……。
健康増進プログラム参加でポイント獲得
15年度には健康経営の推進体制を強化した。将来の社員の年齢構成、雇用延長などの状況を踏まえると、ベテラン社員の活躍を支援するための健康施策がより重要になってきたからだ。
グループ社員の健康保持や増進にかかわる業務全般を統括するCHOを設置したほか、45歳以上のベテラン社員を対象に、自己啓発の研修制度「ライセンス認定制度」を開始した。これは資格取得や専門スキルの習得に加えて、会社が提供する健康増進プログラムへの参加実績が、55歳以降の処遇に反映される仕組みである。望月氏は「専門的なスキルの向上だけでなく、体のケアも仕事で活躍するための大きな差につながる」と話す。
健康増進プログラムはベテラン社員に限らず全社員が参加可能。例えば、腹八分目の食事を心掛ける「腹八分目プログラム」や10分間体を動かす「プラス10運動」、間食をやめる「STOP! 間食」など、ユニークなプログラムを用意。参加実績に応じてポイントが付与され、ポイントは健康飲料や健康グッズ、開発途上国への寄付などの景品と交換できる。ゲーム感覚で楽しみながら健康に対する意識の向上、さらには健康そのものを実現する仕組みと言えるだろう。実際に、13年度は1500人程度だったプログラム参加者が、16年度には1万2000人を超えた。
このように、さまざまな取り組みを行った結果、社内の肥満率にも変化が見られた。男性の検診受診者に占める肥満者の割合は、11年度に40代が47.7%、50代が52.1%、60代が52.9%だったのが、15年度にはそれぞれ44.8%、46.9%、40.5%に減少したのだ。
10年前からスタートした同社の健康経営は、経済産業省による「健康経営銘柄」に4年連続で選出されるなど、外部からの評価が得られるようになった。最近では学生の入社志望理由に挙げられることも多くなったという。
「金融は目に見えない商品。だからこそ、顧客との信頼を築くためには人材が重要。競争力の源泉である社員が働きがいのある環境づくりに今後も注力していく」と望月氏は意気込んだ。
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