急成長する「伝説のすた丼屋」 模倣を難しくしている独自の調理法と秘伝のタレ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/5 ページ)
ボリューム満点の「すた丼」を提供する「伝説のすた丼屋」が急成長している。かつては学生街を中心に出店していたが、商業施設内やロードサイドにも進出するようになった。すた丼は見た目が豪快だが味は繊細で、模倣が難しい料理だ。独自のビジネスモデルとすた丼の調理方法に迫る。
唐揚げが大ヒット
伝説のすた丼屋は「塩すた丼」、「ねぎ盛りすた丼」、「キムチすた丼」といったように、すた丼に具をトッピングするような形で商品のバリエーションを広げてきた。さらに、ギョーザ、油そば、しょうゆらーめんなどとのセットも提案している。
すた丼はサイズも多彩で、「ミニ100円引」、「飯増し110円増」、「肉増し150円増」、「肉飯増し260円増」と、顧客の好みにあわせて選べるようになっている。
一方で、毎月新しく投入している期間限定の商品は売れても、すた丼以外に「定番のヒット商品」といえるようなものを生み出せないのが悩みの種だった。しかし、18年2月にほぼ全店で発売した「伝説のすたみな唐揚げ」が好調で、早くも売り上げ構成比の18%を占めるほどになった。
唐揚げのテークアウトに商機あり?
伝説のすたみな唐揚げは、すた丼に使用されている秘伝のにんにくしょうゆダレで鶏のもも肉を漬け込んだ商品だ。注文が入ってから揚げるので、衣はサクサクで肉はジューシー。鶏肉にしみ込んだ秘伝のタレが食欲をそそる。17年6月から一部の店舗で先行発売され、好評を博してきた。
価格は定食スタイルの「鬼盛りすたみな唐揚げライス」(8〜9個、280グラム)が780円、「ミニ鬼盛り」(6〜7個、210グラム)が700円、「超鬼盛り」(12〜13個、420グラム)が980円。特に「超鬼盛り」は“唐揚げのタワー”のような迫力がある。
単品メニューには500円の「鬼盛りすたみな唐揚げ皿」(8〜9個、280グラム)と、150円の「ミニ」(2〜3個、70グラム)がある。その他、伝説のすたみな唐揚げを使った丼やカレーも用意されている。
この唐揚げが第2の柱となったことで、18年2月以降には既存店の売り上げが前年同月比107〜108%で推移。新たな顧客獲得と来店頻度の増加につながっている。
高まりつつある唐揚げの持ち帰り需要に対応するため、テークアウト窓口を設けるなどの対策をとれば、もっと売り上げを伸ばせるであろう。
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