インドでボンカレー、華麗にデビュー!? 大塚食品の挑戦:食文化の壁に秘策で挑む(2/3 ページ)
大塚食品がボンカレーのインド市場開拓に乗り出した。インド人は食の好みが保守的で通常のレトルトは売れないと判断、社員食堂にカレーパンの形で売り込む。
社員食堂向けに活路
日本のカレーは既製品のルーを使って作ることが多い。だが、植松さんによるとインドの家庭ではそもそもルーを使わず、多種類のスパイスを組み合わせて具材と炒めたり煮たりする。こうした料理がインド人が普段食べる「カレー」に当たる。
インド人は毎日食べているこのスパイス料理を必ずしも「カレー」と呼んでいるわけではないが、日本のような煮込んだカレーだけでなく炒めたものも、日本人から見ればスパイスを使っているので「カレー」なのだという。
植松さんによると、そもそもインドの飲食店で日本式のカレーはほとんど目にしない。「日本のカレーはインドとは別物だが、新しいスパイス料理として受け入れられるのでは」(植松さん)と期待した。
しかし、「インドの人は食に対する好奇心に乏しい傾向がある」(植松さん)。インド人は外食するよりも家で手作りの料理を食べる傾向が強いが、意外にもスーパーではレトルト食品が置いてある。しかし、その使われ方は日本とかなり違う。「インド人がインド国内を旅行した時、よその土地の食事は不安で食べられないという人は実は多い。彼らが買っている」(植松さん)。
食に保守的なインドで、知名度のないボンカレーを旅行用のレトルトに売り出しても受け入れられにくいと判断した植松さんが次に目を付けたのは業務用。企業の社員食堂でレトルトを使ってもらい、まずボンカレーを知ってもらおうと考えた。「レストランではまず客を呼び込まなくてはいけないが、社員食堂では業者に買ってもらえれば確実にボンカレーはインド人の口に入る」(植松さん)。
植松さんによるとインドにある企業の社員食堂で出てくる食事は、日本人から見ればほとんどがスパイスを使った「カレー」。ライスやナン、同じく小麦粉を焼いたチャパティなどに、日本食のおかずのような感覚で数種類のカレーがつく。「このおかずの1つにボンカレーがなれればいいなと思った」(植松さん)。
ボンカレーを売り込む舞台に選んだのは、“インドのシリコンバレー”と呼ばれるバンガロール。IT企業が多く集まっており、そこで働くホワイトカラーなら新しい料理に敏感に反応すると踏んだ。
関連記事
- ベビー用品のピジョンが圧倒的シェアを獲得できる理由
ベビー・ママ用品メーカーのピジョンが開発する哺乳器などが売れている。しかも国内だけではない。世界各国にマーケットを拡大しているのだ。その強さの秘密とは何だろうか? - 大塚食品「マイサイズ」の“ビッグサイズ”な成長
大塚食品の「マイサイズ」が売れている。開発の経緯やこだわり、売り上げが伸びているポイントを担当者に聞いた。 - 「ごぼうサラダ」を生み出したケンコーマヨネーズ、海外でもヒット商品の開発を
業務用のドレッシング類やサラダ類を製造するケンコーマヨネーズが海外市場の開拓を加速させている。イスラム教徒向けにハラル認証のマヨネーズを販売したりと、現地ニーズに合わせた商品開発を進めているのだ。 - ハウス食品、カレーの「ココイチ」買収へ
ハウス食品グループ本社は、カレーショップ「CoCo壱番屋」を展開する壱番屋の株式をTOBで取得し、子会社化。 - 出荷数が1.5倍以上に! 「ゴールデンカレー」は何を改革したのか?
カレールー市場が伸び悩む中、エスビー食品のロングセラー商品「ゴールデンカレー」も売り上げアップを目指してブランド改革を進めている。既にその成果は目に見える形で表れてきたという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.