故障率が0.5%から0.03%に ニトリ、品質向上への執念:商品企画から製造までを検証(2/4 ページ)
消費者から「安くて品質も納得」という評価を勝ち得るまでに成長したニトリだが、現在の地位に至るまでに地道な努力を積み重ねてきた。31期連続の増収増益を実現し、業績面でも好調なニトリの強みを改めて検証する。
商品開発から製造までの流れ
では、ニトリはどのようにして商品開発や製造を行っているのだろうか。
ニトリに取材すると、基本的には商品部という部署が企画立案から開発、オーダーまでを実施しているのだが、商品部内のさまざまな専門部署が関わっており、メーカー顔負けの体制を敷いていることが分かった。
基本的な流れはこうだ。まず、バイヤーが市場調査を行い、品ぞろえを決定する。その結果を踏まえてマーチャンダイザーが商品開発の立案を行う。その際、商品開発研究所がニーズ調査、工場集約、3D試作といった面でサポートする。デザインは、コーディネート商品企画チームがトレンドとコーディネーションを加味して作成する。
次に、選定工場にて詳細な仕様が決められ、試作品がつくられる。ちなみに、ニトリの品質業務改革室による事前審査で合格した工場でないと開発ができないという。
度重なるチェック体制
サンプルが完成したら法定検査を実施するが、自社独自の製品安全基準もクリアしなければいけない。検査に合格したあとは、量産に向けてバイヤーが量産販売計画を作成する。並行して、商品部の副資材/取説チームがパッケージや取扱説明書の作成を行う。
工場の初回生産時には、量産前のチェックが必ず行われる。さらに、量産商品は初回出荷前に現地スタッフによる自社基準の検品が行われる。販売開始後の品質管理と追跡を可能にするため、ロットごとにトレーサビリテイ管理が行われている。
商品の検査はこれだけで終わらない。グループ会社の物流倉庫に入荷した商品は改めて検品され、合格した商品が店舗に導入される、という流れだ。
このように普段目にするニトリの商品には開発から製造まで多くの部署が関係しており、これだけの検査が行われているのだ。
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