故障率が0.5%から0.03%に ニトリ、品質向上への執念:商品企画から製造までを検証(3/4 ページ)
消費者から「安くて品質も納得」という評価を勝ち得るまでに成長したニトリだが、現在の地位に至るまでに地道な努力を積み重ねてきた。31期連続の増収増益を実現し、業績面でも好調なニトリの強みを改めて検証する。
商品力アップの軌跡
ニトリはもともと家具を仕入れて販売する小さなお店からスタートしたのだが、商品開発や製造ノウハウはどのようにして蓄積してきたのだろうか。
元をたどると1987年に旭川市近郊の家具メーカー「マルミツ木工」を買収したことに行き着く。そこで得たノウハウをもとに89年、シンガポールに現地法人を設立し、タイや中国などで家具部品を製造する体制をつくった。シンガポールやタイから仕入れた部品を旭川近郊で組み立てていたという。その後、マルミツを通じてインドネシアに現地生産法人を設立し、96年にはインドネシアのスマトラ島の工場から商品の出荷を開始した。
もう1つ大きな出来事は2004年に元ホンダの杉山清氏を顧問として迎え入れ、商品力の向上を図ったことだ。創業者である似鳥昭雄氏の自著「運は創るもの」(日本経済新聞出版社)によると、似鳥昭雄氏は90年代初めから大手メーカーの技術者をスカウトしようとしていた。02年、中国から日本へ向かう飛行機の中でたまたま隣の席に座っていた男性とお酒を飲みながら盛り上がるうちに、相手がホンダの中国現地法人「東風ホンダ」社長の杉山清氏だったことが判明した。それが2人の出会いだったという。その後、杉山氏のノウハウを取り入れる形でニトリの商品力は向上していった。
素材メーカーと共同開発
ニトリと帝人は12年に“新「機能商品」開発プロジェクト”をスタートさせた。これはニトリの商品開発力と帝人の技術を生かし、「機能」や「安さ」を実現させるものだ。プロジェクトの初期には、「エコオアシス」というレースカーテンを開発している。これは、特殊な金属酸化物を練りこんだポリエステル繊維が窓際で太陽熱を反射するもので、冷房の節電効果が見込めるものだ。
素材メーカーと組んで商品の機能性を高める取り組みとしては、ユニクロが東レと共同開発した素材を使った機能性インナー「エアリズム」などがある(関連記事:ユニクロのエアリズムにみる「脱・安かろう悪かろう」の研究)。
その後、ニトリは品質マネジメントシステムの国際規格の認証を取得したり、グッドデザイン賞に応募したりと“商品力”を向上させる施策をコツコツと実施してきた。
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