「この吸引力に勝てますか」 掃除機市場でパナソニックの巻き返しが始まった:従来の欠点を克服(2/3 ページ)
国内掃除機市場全体は縮小傾向にあるが、ロボット掃除機やコードレススティック掃除機は出荷台数を伸ばしているのをご存じだろうか。そうした中、満を持して新商品を発売し、攻勢をかけようとするのがパナソニックだ。
パナソニックの攻勢
市場全体を見ると、スティック掃除機ではダイソンが先行しており、それを、日本に本社を持つ家電メーカー各社が追っているところだ。
シャープは、1.5kgという軽量化を実現した「ラクティブ エア」を投入。東芝ライフスタイルや日立アプライアンスは、パワーを強調した製品を発売し、三菱電機は、掃除機として使用していないときには、空気清浄機としても利用できる製品を投入している。各社がそれぞれに特徴を生かした製品を投入している。
こうした中、パナソニックがスティック掃除機市場において、本格的な巻き返しに挑み始めた。パナソニックが8月から発売する「POWER CORDLESS(パワーコードレス)」がそれだ。製品名からも、これまでコードレススティック掃除機の課題であった吸引力を解決する製品であることを示した意欲的な製品であることが分かるだろう。
パナソニックは、これまでスティック掃除機として、デザイン性や細かい隙間での操作性に特徴を持つ「IT」を投入していたが、一方で、この分野においては、吸引力が弱いイメージが先行していた。
パワーコードレスでは、「キャニスター掃除機と同等の約200Wの吸引力を実現。パンチコ玉を入れた7kgのペットボトルも吸い上げることができる」と担当者は自信をみせる。実際に、デモストレーションを行ったところ、競合他社の製品では吸い上げられなかったものが、パワーコードレスではそれを吸い上げてみせた。
この高い吸引力を実現したのが、新開発のモーターだ。
業務用ロボット掃除機に採用した大口径モーターをベースに、日本電産との協業によって開発したもので、最大2万Pa(パスカル)の真空度と、業界最大風量となる1.3立方メートル/分を実現。「パナソニックのコードレスクリーナー史上、最高の吸引力を実現することができた」という。
搭載した大型高速ファンにより、最大風速約750km/時を実現。モーターに採用しているマグネットの長さを従来比2倍とし、3層構造を採用することで、損失を抑えトルクモーターを向上。ストレート排気構造の採用により、モーター内部の風損ロスを低減したという。
一方で、運転時間の長時間化も図っている。スティック掃除機としては最大となる、8本のリチウムイオン電池を直列配置で搭載。これにより、高電圧パワーを実現。電池への負担を抑えながら、最長で65分間の長時間運転を実現している。
だが、高い吸引力と長時間運転を両立する上で、マイナス要素となったのが新開発のモーターと、リチウムイオン電池の重量増だ。モーターは、従来モデルに比べて約80gの重量増となり、リチウムイオン電池は2本増やしたことで、約110gの重量増となっている。軽量化が重要な要素であるスティックス掃除機にとってはマイナス材料だ。
そこで、パナソニックは、本体部に、植物由来の素材であるセルロース・ファイバー樹脂を採用。ABS樹脂と比べても、同じ強度ながらも10%の軽量化を実現。さらに、ノズル部には、耐衝撃性を保ちながら、樹脂使用量を抑え、軽量できる中空ガラス配合軽量プラスチックを採用。加えて、本体裏側部分には、正六角形柱を隙間なく並べたハニカム構造を採用して、強度を維持しながら軽量化を実現。本体重量を2.5kgに抑えた。
併せて、ダストボックスとモーター、バッテリーをバランスよく配置したことで軽く感じることができるように、重さを分散する工夫も凝らした。
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