地域活性化を阻害? 東海道本線はなぜ熱海駅で分断されているのか:不便を被る顧客(2/3 ページ)
東海道本線の熱海駅に訪れたことがある人はご存じだろう。下り列車で熱海まで行き、そこからさらに三島方面に乗り継ぐ場合、多くは階段を利用して別ホームに乗り換えなければならない。なぜこのようなことが起きてしまうのだろうか?
ねじれ現象
それにしても、なぜ上記のような不便な現状が改善されないのだろうか。
1987年4月1日の国鉄分割民営化・JR発足に伴い、東海道本線は営業上、東京駅〜熱海駅間がJR東日本、熱海駅〜米原駅間がJR東海に、そして米原駅〜神戸駅間がJR西日本に、それぞれ継承された。一方、伊東線はJR東日本が継承した。
従って、熱海駅では同一路線の東海道本線が東西で別会社となる一方、熱海駅以東の東海道本線と伊東線は別路線でありながらJR東日本の路線になるという「ねじれ現象」が生まれた。
現状では伊東線・伊豆急行線はIC乗車券が利用できるため、熱海駅以東〜伊東線・伊豆急行線相互間のIC乗車券利用が可能であるのに対して、同一路線であるにもかかわらず東海道本線熱海駅以東〜熱海駅以西相互間では不可という、消費者にとって分かりにくい状況が続いている。
もう1つ、個人的に気掛かりなことがある。それは、修善寺発着の特急「踊り子号」の行方だ。
「踊り子号」は東京駅などと伊豆急下田駅・修善寺駅を結ぶ特急列車である。修善寺発着の「踊り子号」は伊豆急下田発着の編成と、東京駅〜熱海駅間で併結運転される運行形態であり、熱海駅で伊豆急下田発着編成との分割・併合が行われる。
修善寺発着「踊り子号」の東京駅〜熱海駅間はJR東日本の乗務員による担当であるが、熱海駅〜三島駅間はJR東海の乗務員が担当する。JR東海にとっては熱海駅〜三島駅間という短距離の運行のために乗務員を手配する手間が発生することになる。しかし、それ以上に修善寺発着「踊り子号」がJR東海にとって収益的にほとんど旨味のない列車であることが問題であろう。
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