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今さら聞けない「働き方改革」 人事担当者必見の用語解説:必須キーワードを識者が解説(3/3 ページ)
働き方改革関連法が可決・成立し、企業にも具体的な対応が求められます。企業の人事担当者が押さえておくべき「働き方改革」のキーワードをピックアップ。労働問題を扱う新進気鋭の弁護士が、用語の概念と企業が取るべき具体的な対策方法を解説します。初回は「働き方改革」の大枠を解説します。
働き方改革関連法の対応では(1)改正法自体の内容を検討すること、(2)改正法の施行日を見据えたスケジュールを設定することが必要です。(1)では、今後、厚生労働省が作成する省令などの情報を入手すること、(2)では「中小企業」に該当する場合の経過措置を確認することに留意してください。
このほか、人事担当者の方が「働き方改革」を進める上でチェックすべき項目を以下にまとめます。スケジュールを設定する際など、チェック項目をご覧いただき、検討漏れがないようにしてください。
(1)働き方関連法で改正された法律とそれぞれの施行日を確認したか?
- 中小企業の経過措置や事業・業務による特例(適用除外・猶予)がないかも確認する
(2)法改正で対応すべき事項の優先順位をつけたか?
- 労働時間規制と「同一労働同一賃金(非正規社員の処遇改善)」(関連記事)への対応が重要
(3)法改正の対応を検討する前提となる現状把握を行っているか?
- 【労働時間・年休】労働時間の管理・記録方法、残業時間や年休消化状況を確認
- 【非正規社員の処遇】契約形態毎の処遇(基本給、賞与・各種手当、退職金、福利厚生など)の比較資料の作成
(4)変更が必要な就業規則や労働契約書、労働協約を整理したか?
- 就業規則を変更する際は、労働契約書、労働協約もセットで変更する(理由:相互の優劣関係が問題となる事態を避けるため)
(5)変更に当たって必要となる手続きを確認したか?
- 就業規則変更の際に、従業員代表の意見書提出、変更内容の社内周知、労働基準監督署への届出などの手続きを確認
- 労働協約の変更を要する場合、労働組合との協議も必要
著者プロフィール
高仲幸雄(たかなか ゆきお)
中山・男澤法律事務所パートナー 弁護士
早稲田大学法学部卒業。2003年弁護士登録。現中山・男澤法律事務所所属。国士舘大学21世紀アジア学部非常勤講師。著者に『改訂版 有期労働契約 締結·更新·雇止めの実務と就業規則』(日本法令)、『異動・出向・組織再編 適正な対応と実務』(労務行政)など著書多数。
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