「大阪王将」に後れを取っていた「餃子の王将」の業績が復活したワケ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/6 ページ)
「餃子の王将」を運営する王将フードサービスが復活しつつある。女性向けの新業態店や安価で量を減らしたメニュー開発が奏功したが、本質的な理由はほかにもあるという。どのような戦略を打ち出しているのだろうか。
食材の国産化で取り組みに差
また、ギョーザの具材国産化に大阪王将は11年から取り組んでいるが、餃子の王将が提供するギョーザとラーメンの主要食材国産化は14年10月にズレ込んでいる。
餃子の王将は同年9月に円安の進行で輸入食材価格が上昇したこともあり、40品目以上のメニューの値上げを敢行。5〜10%の値上げで、「餃子」の価格も20円上がり、東日本で240円、西日本で220円となった。値上げと引き換えに国産の安全・安心を消費者に届ける狙いだったが、結局この値上げが消費者の足を遠のかせた。
なお、大阪王将は餃子の王将の創業者一族が暖簾(のれん)分けの形で大阪に開店したチェーンだ。一時期、2社が同名の屋号である「餃子の王将」を名乗って京都や大阪で競合した。裁判により、大阪の側が屋号を「大阪王将」と改名。社名も「イートアンド」として独自の発展を遂げており、こちらも東証1部上場企業である。店舗数は353店ある(18年6月末時点)。
女性向けの新業態を開発
16年3月、王将フードサービスが京都市中京区にオープンした新業態「GYOZA OHSHO」は、従来の「餃子の王将」のイメージを覆すもので、女子会やデートにも使えるバルスタイルのカフェ風店舗となっている。ビールはもちろんワインやウイスキーなどもそろえる。
「ジャパニーズカジュアル」をテーマにモダンな空間を構築し、女性料理研究家が一部監修する国産野菜を使ったメニューを提供するなど、ヘルシーさを前面に出している。
現在、この店舗は京都や愛知県などに5店あるが、外国人観光客も多い店だ。東京・大阪の都心部に出店すれば大変な話題になるだろう。
メニューの主流は従来と同じもので、今まで餃子の王将に入りたくても入りづらかった女性客の拡大を狙っている。GYOZA OHSHOでは滞在時間が2時間、顧客単価も1200円程度まで上昇している。ゆったりと接客できるため、顧客と密なコミュニケーションが取れるのがメリット。そこで得られた情報が、全店のメニュー開発など業務の改善に生かされているという。
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