北海道地震でデマ拡散が止まらない真のメカニズム:「広範囲で断水」「もうすぐ大地震が」(2/3 ページ)
北海道地震で断水や携帯電話の不通といったデマがSNS上で流れている。被災時は心理的にデマを信じやすい上、lineでの友人間のやりとりで尾ひれが付きTwitterで拡散されるようだ。
背景にSNS頼りの情報環境
橋元教授によると、デマを広めてしまう人には5つの心理的要因があるという。1つ目は緊張や不安といった感情を解消させる「カタルシスの発散」だ。2つ目は、自分が特に大きな被害を受けていないのにもかかわらず、不安で落ち着かない理由を何とか見つけようとする「不安の正当化」。この感情は、直接的には大きな被害を受けていない被災地の周辺部の人に特に起きやすいという。
3つ目は誰かと不安を共有したいという「運命共同体の意識を形成する心理」。4つ目は自分だけが知っている情報を流したいという「優越感の誇示」。最後に、自分の聞きかじった情報の真偽を確かめようとつい他人に流言してしまう「情報の確認・交換」。橋元教授は「今回の断水のデマはこれらの要因のほとんどが関与している」とみる。
橋元教授によると、そもそも地震や豪雨といった災害下では特にデマが広まりやすくなる。緊張や興奮状態になりやすい被災地域では、住民はどうしても与えられる情報を批判的に見られなくなるためだ。避難所で知らない人同士が情報交換することでうわさが広まる環境もできてしまうという。
さらに橋元教授が強調するのが、停電や通信障害でマスメディアから正しい情報が得にくくなる特殊な情報環境だ。電話もかかりにくく、電力を確保しにくいためPCも使いづらい。自然とスマートフォン上で見るSNSに依存しがちになる。「短い文字数で説明の少ないSNSでのやりとりは早とちりや誤解が生まれがち。煽情(せんじょう)的な内容が優勢になる」(橋元教授)。
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