10年間宣伝ゼロのマーガリン 売り上げが突如6倍になった真の理由:メーカーも「なぜ売れた」と困惑(1/4 ページ)
たらこ入りマーガリンが発売10年目に宣伝無しでメーカーも困惑する謎のヒット。Twitterがきっかけだが背景にはそもそもSNSで興味をひきやすい商品の魅力があった。
街中でもネット上でもいろいろな商品広告があふれ、テレビをつければ製品を手に持ったタレントが商品名をCMで連呼する今。メーカーはいかに消費者に商品を認知させて買わせるか、お金や人手をかけて宣伝に努める。当たり前の企業活動といえる。
そうした宣伝活動のかいもなく膨大な商品が小売りの棚から消えているのもまた事実だ。しかし、逆にメーカーがほぼ広告宣伝をしなかったにもかかわらず発売10年目にして突如、売り上げが6倍に跳ね上がった商品があるという。
ピンク色のたらこ入りマーガリン
メーカー側も売れた理由がよく分からず困惑するその商品は「マーガリン」。地味な上にここ数年は市場が縮小しているジャンルだ。開発者すらつかみきれないそのヒットの真相に迫った。
乳製品や油脂食品を製造するマリンフード(大阪府豊中市)は2008年、「たらこスプレッド」(税込470円)を発売した。ふたを開けると目に飛び込む鮮やかなピンク色と、マーガリンの中に乾燥したたらこを混ぜて濃厚な風味にしたのが特徴だ。
同社でこの商品開発を担当した川村敏美さんは「たらこをマーガリンに混ぜるというアイデアはうちのオリジナル」と胸を張る。九州在住のユーザーから「めんたいこをマーガリンに入れられないか」と相談されたのが開発のきっかけという。
パンに塗って食べられることの多いマーガリンだが、たらこスプレッドは汎用性が高いのもポイント。パスタに混ぜれば簡単に「たらこパスタ」に。ゆでたジャガイモと混ぜれば「タラモサラダ」になる。ご飯に混ぜるとピンク色の「たらこバターご飯」に化ける。
レシピは同社の社長夫人で専務(開発当時は常務)の吉村厚美さんが考案。料理研究家らが考えた分も含め、HPに少なくとも約30の調理法を公開した。ちなみに吉村さんは大のピンク好きで、パッケージのデザインも監修した。
関連記事
- 胸の大きい女性が胸を張って着られる服を 27歳女性起業家の挑戦
27歳女性が起業した胸の大きな女性向けの洋服ブランドが急成長している。ユーザーの要望をきめ細かく商品に反映、Twitter上で同じ悩みを持つ女性の共感を呼びヒットした。 - じぶん銀行が「ガチで萌える」2次元美少女の行員を作りこむ深い訳
じぶん銀行がカードローンPRのため2次元美少女行員「小鳥遊つぐみ」を起用。Twitterでつぶやく「中の人」も若手女子行員にしてリアルさを追求。マスCMでなく若い男性層に特に刺さる戦略を取る。 - ブルーハワイも真っ青 「超」青色のドレッシング発売
ケンコーマヨネーズが真っ青な色の業務用ドレッシングを発売する。青色は食欲があまりわかない色ともされるが「インスタ映え」を意識してインパクトを狙った。 - Twitterで次に何が炎上するか当たる!? SNS上の話題を「未来予測」
ネット情報の分析会社が「SNS上で何が今後、話題になるか」の研究を始めた。SNSのユーザーがある情報について「共有・拡散したか」というデータを元に分析、企業の炎上対策にもつなげる。 - 北海道地震でデマ拡散が止まらない真のメカニズム
北海道地震で断水や携帯電話の不通といったデマがSNS上で流れている。被災時は心理的にデマを信じやすい上、lineでの友人間のやりとりで尾ひれが付きTwitterで拡散されるようだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.