築地移転の裏で進む“ネズミ駆除大作戦” 都は粘着シートを4万枚準備:本番はこれから(2/3 ページ)
築地市場の関係者は豊洲への移転準備を進めているが、東京都は大量に生息しているネズミを駆除する準備を専門業者とともに進めている。これまでにない規模のネズミ駆除作戦の全貌を担当者に聞いた。
ネズミの種類によって異なる駆除方法
担当者がネズミを駆除するために用意するのは「A4サイズ大の粘着シート4万枚」「ネズミとりかご600個」「殺鼠(さっそ)剤300キロ」で、ネズミの生息区域にあわせて重点的に配置する。さらに、捕獲状況も踏まえ、駆除する期間内には配置する場所や量を柔軟に変えていくという。
具体的にどのように設置するのだろうか。例えば、クマネズミは地面を走り回らないので、粘着シートを使っても効果がほとんど見込めない。そこで、殺鼠剤を使って駆除する。ただ、殺鼠剤の入ったエサをいきなり置いても食べないので、まずは毒の入ってないエサに3週間程度慣れさせ、その後、毒入りのものに入れ替える予定だという。
ネズミを外に出さないようにする
ネズミを駆除するだけでなく、築地市場の外に出るのを防ぐ対策も必要だ。築地市場の外周部は柵やネットフェンスなどで区切られているが、何も対策しないとネズミが外に逃げ出してしまう。そこで、ネズミが登ろうとしても滑り落ちてしまうような波板の設置を進めている。波板が設置できない場所には、防鼠(ぼうそ)ネットを設置する。
ここまでして徹底的に閉じ込める理由は、近隣の飲食店や商店がネズミによって直接的な被害を受けるのを防止するだけでなく、「築地市場のネズミが大量流出した」「ネズミが店に出た。この店は不衛生だ」といった風評被害を防ぐためでもある。担当者は近隣住民や商店を集めた説明会に足しげく通い、ネズミ対策の概要について説明している。
「粘着シートやとりかごだけで本当に大丈夫なのか? 抜本的な対策が必要でないのか? と質問を受けることがあります。専門家らのアドバイスを踏まえると、一番効率よく捕獲できるのは粘着シートなのですが、近隣の方々の不安も理解できますので、丁寧に説明するように心がけています」
関連記事
- スシローの進化についていけなかったかっぱ寿司
かつて業界をリードする立場だったかっぱ寿司が、競合他社に次々と追い抜かれている。逆転を許してしまった背景にはいったい何があるのだろうか。 - 「回転ずし」勝ち負け鮮明に スシローは上方修正、地方では倒産多発
スシローGHDが、通期業績を上方修正すると発表。主力のすしのほか、スイーツ類が好調という。一方、地方では、大手の寡占や原価高騰の影響で倒産する企業が増えている - 「電機業界の年収」ランキング、苦境乗り越えた東芝が3位、2位はパナ 1位は……
電気機器業界の中で、最も平均年収が高かった企業は? 転職サイト「キャリコネ」などを運営するグローバルウェイが調査を行った結果、3位は東芝、2位はパナソニックだった。1位は……? - 「いきなり!ステーキ」と「俺の」シリーズで、“脱・立ち食い”が進む背景
立ち食い形式で料理を提供することで「低単価、高回転」を実現していた「いきなり!ステーキ」や「俺の」シリーズで椅子席が増えている。なぜ方針転換があったのか。そして、椅子席で高回転は実現できるのか? - 「なぜ売れるか分からない」 ドンキ化したファミマの人気商品に幹部が困惑
ドン・キホーテのノウハウを取り入れた共同実験店が6月にオープンした。店舗の売れ筋商品を分析したところ、ある商品が上位に食い込んだ。ファミマの幹部は「なぜ売れるのか分からない」と原因を分析しきれていない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.