サイバーエージェントの社長が上梓した異色の“麻雀ビジネス本”:麻雀も強い(2/3 ページ)
サイバーエージェントの藤田晋社長が麻雀に傾倒しており、『仕事が麻雀で麻雀が仕事』(竹書房)という本を上梓した。麻雀をすることでビジネスセンスも鍛えられると力説しているが、なぜなのか?
麻雀の地位向上に取り組む
藤田社長はプロプレイヤーとして麻雀大会に参加することもあるが、現在はさまざまな麻雀大会を企画したり、麻雀の地位向上に取り組んだりしている。
例えば、18年には一般社団法人Mリーグ機構(東京都渋谷区)を設立し、代表理事に就任している。同機構は競技麻雀の普及と発展を目的とした団体で、セガサミーホールディングスや電通といった大手企業も参画している。
コンテンツとしての麻雀の魅力を伝える活動にも取り組んでいる。グループが展開するAbemaTVで「麻雀チャンネル」を開設し、麻雀をプレイする動画を配信している。本書によると、AbemaTVの中でも多くの視聴者を集める人気チャンネルになっているという。
藤田社長はかつてアメーバブログや日経ビジネスアソシエといった経済誌で積極的に情報発信をしていたのだが、最近では麻雀専門誌である『近代麻雀』だけで連載していると「おわりに」に書いている。タレントの香取慎吾さんなどが出演して話題になった『72時間ホンネテレビ』の舞台裏やサイバーエージェントが仮想通貨取引所から撤退したニュースの真相なども連載で明かしている。
藤田社長の語る麻雀とビジネス
藤田社長は麻雀をすることで、ビジネスにどのようなメリットが生まれると考えているのだろうか。
まず、麻雀をすることで他人への想像力が養われるという。麻雀というゲームは心理戦の要素が強い。戦う相手がどのような状況に置かれていて、どのような戦略をとろうとしているのか、腹の内を読みあいながらゲームを進めていく。自分の手の内だけを見ているだけでは、勝ち抜くことはできない。
次に、人を見る目が養われると指摘する。藤田社長は学生時代に雀荘でバイトをしていたことがあり、そこでさまざまな人間に出会った。麻雀のスタイルにはその人の性格が如実に表れる。雀荘には、性格が意地悪だったり、ルール違反を平気でしたりする客が一定数存在する。それまで、純粋な目で世の中を見ていたという藤田社長は、むき出しの欲望や憎悪に直接触れる経験をしたことで、ビジネスの世界で自分を利用しようとする人間を見抜くことができるようになったという。
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