なぜ安室奈美恵は私たちの心を揺さぶり続けるのか?:「平成の歌姫」の生きざま(2/5 ページ)
歌手の安室奈美恵さんが引退する。メジャーデビューから26年、「平成の歌姫」と呼ばれた彼女は、全力で歌い、踊り続け、多くの人たちから愛されてきた。引退を目前に控えて、今再び安室フィーバーが起きている。安室さんの何がここまで私たちを引き付けてやまないのだろうか。
ブレない、芯が強い
質問は「安室奈美恵さんの好きなところ、あるいは尊敬するところについて」。最も多かった回答は「ブレないこと」「芯の強さ」だった。
自分という軸、信念を持っていてブレない。(38歳、三重出身、フリーランス)
かわいいのに芯の強さがあるところ。(42歳、鳥取出身、会社員)
安室さんのキャリアを振り返ると、紆余曲折はあったものの、その場その場で意思決定をして、すべてを自らが背負い込んで行動している印象を持つ。後述するが、特に2000年代に入ってからそれが色濃く出ている。そしてまた、やりたいことと、やりたくないことがはっきりしている。これが本当にできる人はそういないが、ブレると人はついてこない。会社組織でも、考えや行動がコロコロと変わるような上司を慕う部下は皆無だろう。
以前、MAXのメンバーの一人に、安室さんについて聞くと「決して自分の考えを曲げない子」と話してくれた。ブレない姿勢と芯の強さ。これは安室さんの本質的な性格のようでもある。
「プロ意識の高さ」という声も目立った。
歌唱力、スタイル(体型など)が一切衰えていないところを尊敬します。自分に厳しく、プロ意識がとても高いんだろうなと思いました。(35歳、東京出身、会社員)
バラエティ番組などに頻出せず、ライブにこだわっている点にプロフェッショナルを感じます。(28歳、鹿児島出身、会社員)
プロとしての安室さんの真骨頂と言えば、ライブパフォーマンスだ。MCはなく、数時間ひたすら歌とダンスに没頭する。一般的にはライブで歌手のMCを楽しみにするファンは多いが、安室さんのライブにはそれがない。ファンは不満なのではと思うかもしれないが、ほぼノンストップでパフォーマンスを続ける安室さんのプロ意識に胸を打たれるのである。
なお、MCをしない理由について、昨年11月にNHKで放送された「安室奈美恵 告白」の中で安室さん本人が語ったのは、ライブステージで一人で話すことの難しさや、話のネタを考えることの大変さがあったので、MCをなくしたライブを一度やってみたところ、特に問題はなくしっくりきたという。そこで、以降はMCを省くようになったそうだ。
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