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“変態セブン”が生まれた背景に、地獄のドミナント戦略スピン経済の歩き方(2/6 ページ)

栃木県内にあるセブン-イレブンの店舗が話題になっている。オーナー店長が破天荒すぎる言動を繰り返していて、その動画が公開されたのだ。この問題は「オーナーとエリアマネージャーを叩いて終了」で終わりそうだが、筆者の窪田氏はちょっと違う見方をしている。それは……。

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セブンの戦略がオーナーたちを追い詰める

 ドミナント戦略とは、特定地域に出店を集中させて商圏内を独占状態にすることだ。ブランドの認知度と顧客のロイヤルティーが高まることに加え、配送面や店舗管理面にもメリットがあって、これを進めれば地域内の勢力図をオセロゲームのように一気に塗り替えることができる。セブンの出店戦略の根幹をなすものだ。

 実際、セブンの公式Webサイトの「店舗検索」を見ると、今回問題となった店舗から2キロ強の圏内には、10店舗がひしめきあっている。もっとも近い店舗は直線で700メートルほどだ。ちなみに、同じ圏内でファミリーマートは3店舗、ローソンは4店舗しかない。

 確かに、そのドミなんちゃらのせいなのか、ウチの近所でもセブンがたくさんできているけれど、それが変態セブンとは何も関係ないだろと首をかしげる人もいるだろうが、まったく関係ないとは言い難い。

 このドミナント戦略が、セブンオーナーたちを経済的にも、精神的にも限界に追いつめているのではないかという指摘があるからだ。

 日本フランチャイズチェーン協会によれば、コンビニの店舗数は2016年末時点で5万4501店(前年比2.8%増)。この10年で約1万4000店増えている。こんな厳しい競争環境の中で、隣近所にポコポコとセブンが建設されていけば、「共倒れ」のリスクが増すのは言うまでもない。たたでさえ、廃棄弁当が店の負担となる「コンビニ会計」で苦しんでいるところにダブルパンチとなっている。

 また、同地域で同じ店ができれば労働力の奪い合いになるのは自明の理だろう。バイトが確保できなければ、経営者なのにブラック企業の一兵卒のように、心身が壊れるまで働き続けなくてはいけないのだ。

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