元楽天副社長が作る幼小中“混在校”の武器:本城慎之介、軽井沢風越学園創設への道【後編】(1/5 ページ)
2002年に楽天の副社長を退任して以降、幾多の迷いを経て、本城慎之介氏が最終的に辿り着いた理想の学校。いったい、それはどんな学校なのか? その革新性や武器は何なのだろうか?
2002年に楽天の取締役副社長を退任して以降、「学校を作る」と言って教育畑に転身した本城慎之介。16年の月日を経て2018年6月下旬、「軽井沢風越学園」の設立認可を長野県に申請し、ようやく積年の思いが形となる段取りがついた(前編「30歳で楽天を辞めた元副社長が私財を投じて学校を作る理由」からお読みください)。
2年間の公立中学校校長の経験、「森のようちえん ぴっぴ」での修行、そして幾多の迷いを経て、本城が最終的に辿り着いた理想の学校。それは、かつて志向していたエリート教育の実践でも全寮制中高一貫校でもない。
いったい、本城はどんな学校を作ろうとしているのか。その革新性や武器は何なのか。
東京ドームの約1.5倍の敷地に387人の生徒
軽井沢駅からクルマで南に10分強走ったところに、カーリングができるアイスパークや、スケートリンクのアイスアリーナなどを併設する「風越公園」がある。その東側に広がる7.3ヘクタール(約2.2万坪)の森林が、風越学園の予定地だ。すでに今年4月、造成工事に着手している。
風越学園は、3歳から15歳、幼稚園3学年と小中9学年が同じ学び舎で混然と過ごす幼小中“混在校”。学年を分断しながらエスカレーターで上げていく「一貫校」と差別化する意味で、あえて本城は混在校と表現する。
20年4月の開校を目指しており、計画によれば幼稚園が1学年24人ずつ、小学校と中学校は1学年35人ずつ、合計387人と決して大きな規模ではない。が、反して敷地は大きい。
東京ドームの約1.5倍に相当する敷地の約半分を占める校舎は、2階建てで延べ床面積が6824平方メートル。全体が扇形に広がる形で、中央には中庭と、中庭に面した広大なライブラリーが作られる。全寮制ではなく通学制のため、かなりゆとりがある設計と言える。
ようやく形が見えてきた風越学園のプロジェクトは、前編で触れたように16年1月の気付きを端に始まった。
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- 30歳で楽天を辞めた元副社長が私財を投じて学校を作る理由
かつて三木谷浩史とともに楽天を創業し、副社長を務めた本城慎之介。彼は2002年11月に30歳で楽天副社長を退社して以降、教育畑に転身した。現在は長野・軽井沢の地で幼稚園・小・中学校の混在校である「軽井沢風越学園」の開校を目指している。彼が成し遂げようとしていることの本質を探った。 - 「情熱は大事、ただしそれだけではうまくいかない」 元官僚のベンチャー社長が持つ覚悟
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