「年収1000万円超え世帯の住みたい街」上位に世田谷が入らない理由:中古マンション購入アプリで調査(2/3 ページ)
中古マンション購入アプリ「カウル」で年収1000万円以上の世帯の人に物件を買って住みたいと思う街を最寄り駅単位で調査。1位は飯田橋駅となり10位以内に世田谷区は入らなかった。
世田谷は都心部からちょっと遠く……
同社の分析では、このランキングでユーザーが重視したとみられるポイントは3つ。昔から街が持つ「ブランド力」のほかに電車などの「交通の便」、それに小学校の「学区」だという。
同社の針山昌幸社長によると、例えば世田谷区でも古くからの高級住宅街として知られる成城エリアについては都心部のビジネス街へのアクセスがさほどよくないのがランキング上位から漏れた理由という。逆に1位の飯田橋駅はJR中央・総武線、東西線、南北線、有楽町線、都営大江戸線が乗り入れる。「3・11で交通がマヒして都心のオフィスから自宅まで徒歩で長距離の帰宅を余儀なくされた経験から、首都圏では職場から遠かったり利便性の悪い物件は避けられる傾向があるようだ」(針山社長)。
針山社長は上記の3条件がバランスよく高いエリアが人気を得ているとみるが、中でも注目しているのが「学区」だという。例えば文京区だと「3S1K」と呼ばれる公立小の誠之小、千駄木小、昭和小、窪町小が代表的な人気校だ。針山社長によると目黒駅であれば近くの品川区立第三日野小が人気に寄与しているとみられ、「今回の調査では各区の中で人気の小学校の近くのエリアがランクインしている」(針山社長)。
カウルのユーザーの多くは30〜40代のファミリー層。実際、同社の営業担当者もよく顧客から「この小学校に子供を通わせたいので物件を探している」と相談を受けるという。有名校であれば教員の質が高く良質な教育環境だと親が考えるのが理由だが、独身者からするとあまりピンとこないポイントだ。
ただ、針山社長が2009年ごろ、起業前に別の不動産会社で営業担当をしていた際も、頻繁に特定の学区内の物件があるか顧客から問い合わせを受けたという。「首都圏で特定の小学校の人気は根強い。学区を重視する人は昔からいたようだ」(針山社長)。
学区は同社にとって意外な商機をつかむチャンスにもなっている。針山社長によるとこれまで大手企業による中古物件の検索サービスでは学区を指定できる機能はほとんど存在せず、地域の不動産業者が地元情報としてWebサイトにアップする程度だったという。
ハウスマートは学区への顧客のニーズを取り入れようと18年4月、カウルに小学校の学区ごとに物件を検索できる機能を追加した。東京都教育委員会によると18年4月現在で都内には1273の公立小があり、同社は各区のHPにある学区情報を手作業でデータベースに落とし込んだ。
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