外国人材受け入れをもっと 法の壁に風穴開けた就職支援会社社長の執念:日本で働けない外国人の無念背負う(2/3 ページ)
2019年に外国人材の受け入れ条件が緩和される。火付け役は外国人の就職支援のパイオニア企業の社長。日本で働けなかった外国人の無念を背負っての活動が実った。
社長就任後8年で売り上げ10倍に
3・11の時には働いていた留学生の多くが帰国し、企業側も採用を停止してしまった。悪戦苦闘する中、転機になったのが12年に三井不動産などが開業に携わった商業施設、ダイバーシティ東京(東京都江東区)だった。
開業に先駆けて竹内さんと同社が同じ湾岸エリアにあるショッピングモール、ヴィーナスフォートを調査していたところ、テナントの平日の売り上げの半分が訪日客によるものと判明した。そこで竹内さんはダイバーシティ東京でもインバウンド需要を取り込むため、中国人スタッフの全店への配置を提案した。
約160のテナントで300人規模の中国人スタッフを配置する案が通り、グローバルパワーが応募や研修業務を一手に引き受けることに。大口のプロジェクトの成功で弾みがついた。今や社長就任後8年で派遣や紹介、採用支援に携わった外国人の数は15倍、売り上げも10倍に伸びた。
同社が主に日本企業に紹介するのは、弁護士レベルの極めて高度な専門性は持たないが、言語や事務能力など一定のスキルを持つ「中核人材」と呼ばれる層だ。多いのはオフィスで働く事務職と小売りの販売職で、商業施設などで訪日客に対応するため中国語や英語を使える人材が重宝されている。
ただ、最近は日本在住の外国人向けの生命保険や不動産の営業職をはじめ、日本製ゲームを海外向けに翻訳してローカライズする仕事などインバウンド以外でも外国人材のニーズは多様化しているという。以前から需要の高かった中国語だけでなくインドネシア語やベトナム語を話せる人へのオファーも増えている。
「事業を始める前、100人中99人に『外国人材のブームはいつ来るかも分からない』と反対された。誰もやらない仕事だからこそ、耐え忍んで続ければいつか商機が来ると思った」(竹内さん)。そんな業界のパイオニアとして、同社が特に厳守してきたことがあるという。コンプライアンスだ。
竹内さんによると、外国人材の業界では就労内容などをごまかして在留資格を取ってしまう業者も存在する。入国管理局(入管)に在留資格を認めてもらう手続きもコツの要る作業で、真面目にやっても期待通りに資格が下りない場合もある。「うちは独立系の会社でかつては怪しく見られることもあった。業界のパイオニアとしてプライドを持ち、入管としっかり向き合ってささいなことでも法令を守ってきた」(竹内さん)。
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