“外食大国”福岡を救え! 地元信金が人手不足対策に乗り出したワケ:後継者探しもお手伝い(1/2 ページ)
福岡県を中心に地元密着型の営業を続けてきた信用金庫が飲食業支援に乗り出す。具体的には、取引先の人材不足や後継者不足に対応する。将来的には“外食大国”福岡を救うことになるかもしれない。
「ある飲食チェーンが10店舗を展開するまでに成長していたのですが、人手不足で3店舗まで規模を縮小せざるを得なくなりました。こういった飲食店を応援したいと思います」
このように語るのは、福岡県一円・山口県下関市・大分県中津市で事業を展開する福岡ひびき信用金庫(福岡県北九州市)の担当者だ。同金庫は11月1日、飲食業に特化した人材サービスを提供するクックビズ(大阪市)と業務提携契約を締結したと発表した。人材不足や後継者不足に悩む飲食業者に対して、同金庫の営業担当者がクックビズを紹介するというのが提携の骨子だ。
同金庫は1924年に設立された有限責任信用組合八幡庶民金庫を母体として発展し、若松信用金庫などとの合併を経て、営業エリアを広げてきた。いわば、地域に密着した歴史ある信用金庫だ。これまで、顧客の課題を解決するために、提携しているコンサルティング会社などを紹介してきたことはあったが、クックビズのような企業と手を組むのは初の試みとなる。どのような背景があるのだろうか。
取引先の人材不足を解消
担当者によると、取引先の飲食事業者は現在、深刻な人手不足に悩んでいる。パートやアルバイトを求人誌で募集しても効果が薄い。また、取引先には老舗も多く、外国人労働者を雇用することには及び腰だ。そこで、飲食業の人材紹介に強みを持つクックビズを活用してもらおうと考えている。
取引先の後継者不足を解消する意図もある。熱心な常連客を多く抱え、事業をまだまだ継続できるにもかかわらず、後継者がいないために自分の代で店をたたまざるを得ない事業者が多くいるという。同金庫の営業担当者が久しぶりに訪問してみると、店舗をたたんだあとだったことが度々あった。クックビズにはプロの調理人も登録しているため、マッチングもスムーズになる。
事業を継続できなくなる取引先が増えると、同金庫の経営にも大きな打撃となる。地域経済を活性化させるためにも、金融機関として本気で支援に乗り出さないといけない事情があるのだ。
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