沖縄のバス1日乗り放題、売り上げ倍増の一方で課題も……:若い観光客や外国人に好評
沖縄路線バス周遊パス券の売れ行きが好調だ。外国人観光客などから好評で、運転免許を持っていない観光客の取り込みに一役買っている。8月の販売枚数は950枚と前年比3倍増、9月も計857枚で2倍増と大幅に伸びている。
沖縄県内バス4社と沖縄都市モノレール、JTB沖縄で構成する「沖縄路線観光活用戦略会議」が発行する沖縄路線バス周遊パス券の売れ行きが好調に推移している。
路線バスやモノレールが1日乗り放題となっており、沖縄を訪れる学生や外国人観光客などから好評で、運転免許を持っていない観光客の取り込みに一役買っている。8月の販売枚数は950枚と前年比3倍増、9月も計857枚で2倍増と大幅に伸びている。また販売を開始した2017年8月からの累計販売枚数も1万枚に達する勢いだ。(政経部・仲本大地)
販売実績のうち、2月が1022枚と最多。次いで3月が985枚となっている。担当するJTB沖縄の小宮啓明観光開発プロデューサーは、夏休みや春休み期間中の学生の需要が多いことや、プロ野球キャンプ時期に個人客が球場巡りのために購入するケースが多いと分析。1日3000円で路線バスやモノレールが乗り放題とリーズナブルな価格も好評で、リピーターも増えてきている。
また、当初は空港内の観光案内所や各バス会社での販売のみだったが、県内の旅行会社やホテルなどからも周遊パス券を組み込んだツアープランの提案に関する相談が増えていることから、今後も需要の拡大が見込めるという。
一方で、県内路線バスの課題に触れ、類似したバス停名や地元の人しか分からない地名のバス停など、県外や海外から来た観光客にとって分かりにくいと指摘。また、インターネットの経路検索では正確な経路情報が出てこないことも課題に挙げた。
小宮氏は「運転免許がないことで、観光客に沖縄旅行を諦めてほしくない。そのためにもレンタカー以外の移動手段の利便性向上が求められる。周遊パス券がその一端を担ってほしい」と期待した。
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