ゼロから50人に急増、なぜグロービスは異質のエンジニア採用に成功しているのか?:生まれ変わる組織(6/6 ページ)
ビジネススクールとして著名なグロービスが大変革を起こしている。2016年に初めてリードエンジニアを採用し、ビジネスおよび社内のデジタル化に力を入れているのだ。関係者を取材した。
組織を超えて一丸となって良いサービスを作りたい
最初のころは、スーツを着ていないエンジニアたちの姿に「見たことのない人がいる」と他の社員が驚くこともあったという。しかし「目安箱プロジェクト」の成果もあり、今では「あの人たちはうちのエンジニアだ」と自然と認知されるようになってきたそうだ。
新しく迎えた人材を既存の組織文化に同質化するのではなく、良い意味で異質なまま受け入れ、彼らの文化を尊重し、力を発揮しやすい環境を用意したことが功を奏しているように見える。
末永さんと田邊さんが開発を担当する「グロービス学び放題」は、従来は企業の中間管理職以上が多かった学習者の層を新入社員にまで広げる効果があり、累計の利用者は5万5000人。今後はアクティブユーザーを年間10万人にすべく、コンテンツを大幅に拡充するほか、コミュニティー機能やリコメンド機能など学習をサポートする機能も追加していく予定だ。
グロービスが日本だけでなく海外でも戦っていこうとしていることを考えると、プロダクト開発も組織作りもまだまだこれからの段階、というのが末永さんと田邊さんの認識だ。今後は、事業部の枠を超え、エンジニアもビジネスサイドの社員も一丸となって顧客に提供できるサービスを作っていきたいと語った。
異質な文化がうまく混ざり合い、これまでになかったような教育サービスがこの日本から生まれることを期待したい。
著者プロフィール
やつづかえり(ERI YATSUZUKA)
ライター、編集者
コクヨ、ベネッセコーポレーションに勤務後、2010年にフリーランスに。13年に組織人の新しい働き方、暮らし方を紹介するWebメディア『My Desk and Team』開始。女性の働き方提案メディア『くらしと仕事』の初代編集長(〜18年3月)を務め、現在はYahoo!ニュース(個人)などで働き方、組織などをテーマに執筆中。
関連記事
- 天才プログラマー・佐藤裕介は限界を感じていた――知られざる過去、そこで得たメルカリ対抗策
2018年2月に誕生したヘイ株式会社。代表取締役にはプログラマーの佐藤裕介さんが就任した。佐藤さんはGoogle出身で、フリークアウト、イグニスの2社を上場に導いた人物。そんな彼がheyを設立したのは、順風満帆に見えるキャリアの陰で抱えていた、自分のある「限界」を突破するためだった。 - 65歳でネスレに中途入社したベテラン営業マンが輝いている理由
大手メーカーで営業マンとして20年以上働き、50代で起業経験もある石川さんは、65歳でネスレ日本に入社した。上司や同僚にも仕事ぶりが評判だというが、そのわけとは――。 - 30歳で楽天を辞めた元副社長が私財を投じて学校を作る理由
かつて三木谷浩史とともに楽天を創業し、副社長を務めた本城慎之介。彼は2002年11月に30歳で楽天副社長を退社して以降、教育畑に転身した。現在は長野・軽井沢の地で幼稚園・小・中学校の混在校である「軽井沢風越学園」の開校を目指している。彼が成し遂げようとしていることの本質を探った。 - 弱みだった「人」をどう変えた? アルバイト出身の女性役員が語るスープストックトーキョー流の働き方
スープ専門店「Soup Stock Tokyo」を展開するスープストックトーキョーでは従業員の働きがいと働きやすさを推進し、顧客へのサービス向上や従業員のキャリア支援にもつなげようとしている。その取り組み内容や成果について、同社取締役の江澤身和さんに話を聞いた。 - ファンケルの「アクティブシニア社員」は会社に何をもたらすのか?
労働人口が減少する日本において、いち早くシニア世代が活躍する場所を作ろうとする企業が出てきている。化粧品と健康食品メーカーのファンケルでは65歳以上の社員が柔軟な勤務体系で働き続けられる「アクティブシニア社員」という制度を打ち出した。そこで活躍する社員に実際の話を聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.