岡山のスーパーが、膨大なデータを分析するワケ:水曜インタビュー劇場(情報公演)(4/6 ページ)
岡山のスーパー「マルイ」が、ちょっと面白いことをしている。店舗の客数、売り上げ、単価などをリアルタイムで知ることができ、次の一手を考えているのだ。なぜ膨大なデータを分析しているのかというと……。
BIツール導入の背景
土肥: なぜツールを導入することになったのでしょうか?
松田: 日本の人口が減少している中で、地方はその影響を強く受けていますよね。そうした状況の中で、スーパーが大切にしなければいけないことは何か。「生産性」を高めなければいけないし、「付加価値」も高めなければいけない。では、生産性を高めるためにどうすればいいのか。過去のデータを分析するのに時間ばかりかけていてはダメ。分析ばかりに時間をかけていても、未来の戦略を組み立てることはできませんよね。
もう1つの付加価値はどのようにしたら高めることができるのか。当社の場合、カード会員が「いつどこで、どのような商品を購入したのか」といったデータがあるので、そうした情報を活用してお客さんに魅力のある商品を提供していかなければいけません。ただスーパーの場合、アイテム数が多いので、そこに手間暇をかけていると、付加価値の高い商品を提供することが難しくなる。こうした2つの課題を解決するために、ツールを導入しました。
土肥: ツールを導入する前、本部はどのようにして戦略を練っていたのでしょうか?
松田: えーと、いま何時ですか? (時計を見て)午後3時を少し過ぎていますよね。こうした時間、店舗では何をしているのか。スーパーの場合、1日の折り返しの時間になるので、店長や部門の担当者は「刺身は○○パック売れているので、このくらい必要かな」といったやりとりをしていました。
土肥: 刺身は発注できても、ほかにもさまざまな商品がある。○○牛乳が30本売れたので10本発注して、といった作業は時間がかかりそうですね。しかも、そうしたデータを本部は管理しなければいけない。
松田: 全体の数字を把握するのに、ものすごく時間がかかっていました。前日のデータを集計して、それを見て、翌日以降に対策を打つといった流れ。対前月比、対前年比などを考えると、どうしても後手後手に回っていたんですよね。
土肥: となると、これからの店長はデータを分析する能力だけでなく、判断するチカラも必要になりますね。
中山: なります。これまでよく分からなかったことがリアルタイムに見えるので、データに対する判断能力は欠かせません。
松田: 全店長の2割はデータをよく活用していますが、残りの2割はちょっと……といった状況ですね。でも、それではダメ。どのようにすればレベルを上げることができるのか、その課題を解決していかなければいけません。
関連記事
- 東京で「フードトラック」が、どんどん増えている秘密
平日の昼。毎日同じようなモノを食べていて、飽きているビジネスパーソンも多いのでは。そんなランチ難民とも言える人を救うかもしれないサービスが登場している。フードトラックと空きスペースがあるオフィスビルをマッチングさせるサービスで、そこで提供されるランチを利用する人が増えているのだ。 - 700台のカメラを設置して、スーパーの「トライアル」は何を分析しているのか
スーパーマーケットの「トライアル」が、近未来を感じさせられる店舗を構えた。店内には700台のカメラを設置して、人の動きや商品棚をウォッチしているという。最先端の技術を導入して、どんなことが分かってきたのか。 - 6畳弱の狭い物件に、住みたい人が殺到している理由
6畳弱の狭い物件が人気を集めていることをご存じだろうか。物件名は「QUQURI(ククリ)」。運営をしているピリタスの社長に、その理由を聞いたところ……。 - えっ、CDプレーヤーが売れている? エスキュービズムの戦略が面白い
ポータブルタイプのCDプレーヤー市場が面白いことになっている。市場が縮小していくなかで、新興メーカーのエスキュービズムが発売したところ、ある層を中心に売れているのだ。「CDプレーヤーなんてオワコンでしょ」と言われているなかで、どういった人たちが購入しているのか。 - サラリーマンの味方「切腹最中」は、なぜ1日に7000個も売れるのか
お詫びの手土産として、多くのサラリーマンが購入する「切腹最中(せっぷくもなか)」をご存じだろうか。1990年に発売したところ、当初は注目されていなかったが、いまでは多い日に7000個以上売れている。「切腹」という言葉が入っているのに、なぜヒット商品に成長したのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.