今の私になくてはならない、風変わりな天才のN先生:内田恭子の「日常で触れたプロフェッショナル」(2/5 ページ)
天才と変人は紙一重というけれど、まさにこの人はぴったり当てはまる。私がお世話になっている漢方医のN先生だ。とにかく面白い先生がいるからと、友人に紹介されて、いざ出会ってみると……。
多くの人に漢方の良さを知ってもらいたい
そしてN先生の素晴らしいところ。生薬は煎じたりするのが面倒くさいと渋る私に、とっておきの生薬を出してくれる。ポットで煎じるタイプのもの。寝る前に、保温ポットに生薬を入れて、沸騰したお湯を注ぐ。翌朝にそれをお鍋にあけて、もう一度沸騰させておしまい。あとはポットに入れておいて、1日何回に分けて飲めばいいというもの。面倒臭がりにはうってつけ。
家の中が漢方の匂いで充満することもなく、時間もかからない。しかも先生は一人でも多くの人に漢方の良さを知ってもらいたいと、できるだけ保険が適用する範囲でやってくれるから、他と比べると割安なのだ。
先生のところで処方してくれるスペシャル漢方も私のお気に入り。「王様のお風呂」という名前の漢方。その生薬をお風呂に入れるだけで尋常じゃない量の汗が出て、重い肩とかもすっかりと軽くなる。もう1つ。年末の時期になると無理やり(?)出してもらっている「自衛隊セット」と呼ばれる漢方。暴飲暴食による内臓の被害を軽くしてくれるのである。
こうやって私は5〜6週間に1回の頻度でN先生のもとを訪ねるようになったわけだけれども、N先生のところはいつもたくさんの患者さんで混んでいる。講演や、自分のプロジェクトを抱え、他の病院でも外来を受け持ち、忙しいにもかかわらず、一人一人きちんと時間をとって話をしてくれるN先生には本当に頭が上がらない。
漢方が効きはじめ、やっぱりN先生はすごいと、まるで先生は魔法使いかなにかと勘違いし始めた私。
「先生、最近すぐ疲れてしまうから、もっと疲れにくくする漢方にしてください」
ああ、人間は貪欲だ。それに対しての先生の話がまた面白かった。
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