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600年以上続く沖縄・竹富島の祭りに、廃れゆく地域が習うべき姿があった:小さな南の島の文化(5/7 ページ)
竹富島で600年以上も前から毎年行われている「種子取祭」をご存じだろうか。この祭りと、それを作り上げる島民たちから、日本のほかの地域が学べることは多い。
地域が存続するために……
ただし、島に入り、同じコミュニティーの中で暮らすのなら、出身者だろうとよそ者だろうと区別は一切なし。どんなことにも主体的に参加する決まりがある。例えば、毎朝の道の掃き掃除や、年に2回行われる自宅の内外や敷地に面した道の清掃点検などだ。これをきちんと行わなければ罰せられる。これは共に島で生活する者すべてに課せられた義務である。一緒に島の文化を作っていく主体者だから。こうしたところにもうつぐみの精神が表れている。
日本の地域の特徴として「閉鎖性」がしばしば語られる。これはネガティブな側面だけではなく、安心、安全なコミュニティー作りのための自衛という観点もあるかもしれない。しかし、閉ざし続けた結果、廃れていく地域があるのは事実だ。
「景観の美しい南の島だからできる」「うちは北国で山奥だから無理」――。そうではなく、地域が存続するために何が必要なのかを今一度真剣に考えなくてはならない。日本の数多くの地域はそうした時期を迎えているのだ。人口減少は待ってはくれない。消滅可能性の危機は迫っている。
もちろん、地域にはそれぞれ事情や風土がある。しかし、人々を引き付ける竹富島の保守性とオープン性を併せ持つスタイルは、日本の地域がこれから生き延びていくためのヒントになるかもしれない。そう強く感じた。
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