どうなる4K放送!? 開始まで1カ月を切ったが認知度は低いまま……:4K(1/4 ページ)
2018年12月1日午前10時から「新4K・8K衛星放送」がスタート。もう1カ月もないが、業界内では頭の痛い問題がある。それは、4Kに対する認知度が依然として低いことだ。
2018年12月1日午前10時から、「新4K・8K衛星放送」がスタートする。
すでに、1カ月を切っているが、業界内では頭の痛い問題が発生している。それは、4Kに対する認知度が依然として低いことだ。
放送局や機器メーカーなどが参加する一般社団法人放送サービス高度化推進協会(A-PAB)は、16年9月から、これまでに4回に渡って、4Kおよび8K放送に関する市場調査を行ってきた。
11月5日には、最新調査となる18年9月時点での結果が発表されたが、これによると、4Kという言葉は、86.3%の人が知っており、8Kについても59.0%の人が知っているという結果が出ている。
調査結果をまとめたリリースでは、「9割近くの人が4Kという言葉を知っている」と表現しているが、この内訳をみると、4Kという言葉を知っている人の中には、「知っているような気がする」という曖昧な回答までが含まれており、この分(26.3%)を引くと、本当に「知っている」と回答した人は60.0%にとどまる。しかも、16年9月の調査では、「知っている」と回答した人は57.2%。2年を経過しても、2.8ポイントしか上昇しておらず、4Kに対する認知度が、まったく向上していないというわけだ。
また、4K放送に対する視聴意向が低いことも問題だ。最新調査では、「ぜひ視聴したい」と回答した人は11.6%とわずか1割。「まあ視聴したい」という回答も28.3%となっており、この2つの回答を足しても39.9%にとどまる。つまり、6割の人が、4K放送には興味がないということになる。
そして、もうひとつ業界にとって、懸念すべき結果は、これまで購入した4K対応テレビには、新たに4Kチューナーが必要であるということを認知している人が22.7%と、4分の1以下であることだ。
もちろん、この中には、4K対応テレビを持っていない人が数多く含まれることから、それらの人にとっては関係がない話で興味が薄いのも当然だ。そこで、4K対応テレビの所有者に絞り込んで調査結果を見てみると、52.0%の人が知っていると回答している。22.7%という数値と比べると高く見えるが、よくよく考えてみると、4K対応テレビを持っている当事者でも約半分しかその事実を知らないというのは問題だと言えるだろう。
これまでに販売されてきた4K対応テレビのリモコンには、基本的には「4K」というボタンがない。12月1日以降に、始まった4K衛星放送を見てみようと思ったものの、リモコンに4Kに切り替えるボタンがないことに気が付いたり、そのままでは4K放送が見られないことに驚いたりする4Kテレビユーザーが約半分も存在する計算になるのだ。
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