ニッポンの職場が激変? 年収大幅減、下請けに丸投げなどの懸念も:“いま”が分かるビジネス塾(2/3 ページ)
2019年4月に働き方改革関連法が施行される予定だ。しかし、対応が十分にできている企業は少ない。今の状態で法律が施行されると、年収の大幅減や中小企業におけるサービス残業の横行、生産の縮小などの悪影響が懸念される……。
働き方改革の意味をはき違えている企業が多い
19年4月にこの法律が施行されれば、労働者の環境が一気に改善すると考えたいところだが、残念ながらそう単純な話ではなさそうだ。関連法の成立を受けて各企業では残業時間の削減を進めているが、うまくいっていないところが多い。その最大の原因は、「生産性」というものに対する根本的な誤解である。
日本の労働生産性は欧米先進国と比較すると半分から3分の2程度の水準しかなく、これが長時間残業の温床となってきた。生産性が半分ということは、同じ仕事をこなすのに、欧米の2倍時間をかける、あるいは2倍の人員を投入していることを意味している。
働き方改革の本当の目的は、生産性の向上であり、労働時間の単純な削減ではない。業務のムダを見直し、生産性を向上させれば必然的に労働時間は少なくなるというメカニズムである。だが、業務のムダを削減せず、ただ一律に労働時間を減らしてしまった場合には、単純に生産が落ちるだけで状況は何も変わらない。
もっと具体的に言えば、計算上、同じ仕事をするのに欧米企業の2倍の人員を投入しているケースでは、「働かないオジサン」に代表される社内失業者の存在が全体の生産性を大きく引き下げている可能性が高い。
実際に働いている社員の業務プロセスはそれなりに効率化されており、この部分のムダを削減したところで乾いた雑巾を絞るようなものだ。大量の社内失業者を、収益を生み出す仕事に配置転換しない限り、全体の生産性は向上しない。
つまり本当の意味で生産性を向上させるには、配置転換を含む組織全体の改革が必要であり、これには大きな決断が必要となる。ここまでの覚悟を持って業務改革を進める企業は少なく、残業時間の上限が規制されるので、とりあえず、一律に残業を禁止するというところが多い。
ではこうした場当たり的な対策にとどまった企業は、19年4月以降、どのような状況に陥るのだろうか。
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