連載
“あの事件”の舞台・新潟県十日町市で味わう自然 「サンクス・ツーリズム」のススメ:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(5/7 ページ)
首都圏に住む人々は新潟県十日町市に借りがある。かつてJR東日本が「事件」を起こしたが、7年前には電力不足を救ってくれた。できれば観光に行こう。暮らしを支えてくれる地域に感謝して訪ねる「サンクス・ツーリズム」を提案したい。
美佐島駅と「国宝・火焔型土器」
星峠から信濃川発電所巡り。観光コースではないけれど、カーナビに示された道で宮中ダムへ向かう。どんどん細い道に入り、すれ違い不可能な林道になった。落ち葉を踏むとスリップして転落……と思い、ヒヤヒヤしながら走り抜ける。しかし、こういう道の景色が良いことも事実。同乗者がいれば写真を撮ってもらえたな……と思う。約50分のドライブだった。
宮中ダムは3つのゲートから放水が行われていた。周辺の山も良い色づき。ダムの建設の残土を盛り上げた丘に、ソメイヨシノと八重の黄桜が植えられている。ダムを建設した国鉄時代に作られた憩いの場。周辺の人々と円満でいたいという願いがあったのだろう。
宮中ダムからは国道でJR東日本千手発電所へ。約25分のドライブ。信濃川沿いだけど、発電に使う水は分流され地下トンネルの中を通っている。大変な規模だと思う。千手発電所付近の電光掲示板に、今日の放水量が表示されていた。今日は47.0立方メートル。つまり47トン。下限に近い量だ。
千手発電所から十日町駅はクルマで10分ほど。返却予定の時間まで1時間半ある。ほくほく線のトンネル駅、美佐島駅を見物して、最後は十日町博物館へ。
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