ロボット開発の覇権、Googleにとって代わるのはソフトバンクか?:“いま”が分かるビジネス塾(2/3 ページ)
米Googleの持ち株会社であるAlphabetが二足歩行ロボットの開発を中止することが明らかに。一方で、ソフトバンクグループは、Googleからロボット会社を複数買収するなどロボット開発のリーダーとなりつつある。
当初は軍事目的の色彩が濃かった
二足歩行ロボット(もしくは四足歩行ロボット)は、見た目のインパクトの大きさから世間の関心を集めているが、どの程度、事業機会があるのかという疑問の声は常に存在していた。
テクノロジーというのは、実際に製品やサービスが市場に出てこなければ、本当のニーズは顕在化しないので、開発時点の価値観で技術の是非を判断することは間違っている(従って、SCHAFTに見向きもしなかった産業革新機構の判断は正しいとは言えない)。しかしながら、どこかのタイミングで巨大なニーズが生まれない限り、その技術が広く普及する可能性は低い。
ロボット開発の初期段階において、製品の最大の買い手として軍が想定されていたことはほぼ間違いない。Boston Dynamicsは国防総省から開発資金の提供を受けており、前述のロボット・コンテストも国防総省傘下の機関が主催していた。
ロボット開発企業はどこも情報公開に極めて消極的だったが、こうした状況と無縁ではないだろう。民生向けの技術を開発するテクノロジー企業は、開発が不十分な状況であっても、メディア向けにプレスリリースを何度も出し、メディアでの露出を高めたがるという状況と比較すれば一目瞭然である。
軍隊は車両や武器など大量の装備品を保有している。技術が進歩し、ロボット兵器を実用化するメドが立ったとしても、既存の車両や武器をすべて新しくするのは現実的ではない。もしロボットが人型であれば、人間の兵士が使うことを前提に作られた装備品をそのまま使うことができる。軍用ロボットが人型である必然性はないにもかかわらず、二足歩行ロボットの開発企業に強い関心を示したことには、こうした背景があると考えられる。
関連記事
- マカオ転職で給料4倍! このままでは日本の賃金が危ない!
今や日本はアジアの中でも賃金が安い国となりつつある。日本人が仕送りなどを目的にアジアに出稼ぎに行くようになる日はそう遠くないのかもしれない。 - ニッポンの職場が激変? 年収大幅減、下請けに丸投げなどの懸念も
2019年4月に働き方改革関連法が施行される予定だ。しかし、対応が十分にできている企業は少ない。今の状態で法律が施行されると、年収の大幅減や中小企業におけるサービス残業の横行、生産の縮小などの悪影響が懸念される……。 - なぜメルカリはホワイトな労働環境をつくれるのか?
メルカリの福利厚生がホワイトすぎると話題だ。多くの日本企業は働き方改革を実践するため、残業時間の規制などに躍起になるが、根本的な誤解も多い。メルカリの取り組みを知ることで働き方改革の本質が見えてくるはずだ。 - 働き方改革関連法の成立で仕事はどう変わるか?
働き方改革関連法が可決・成立した。国会審議では「高度プロフェッショナル制度(高プロ制度)」の是非が主な争点となったが、同法案がカバーする範囲はもっと広い。法案の概要と施行後にどのような影響が及ぶのかについて考察する。 - 転職が増えないと、社会のAI化は進まない?
AI化が進むと人間の仕事の多くが失われるという話は社会の共通認識となりつつある。しかし、現在の労働市場のままでは、AI化そのものがスムーズに進まない可能性もあるのだ。 - あなたも他人事ではない 「ひとり情シス」が意味すること
情報システム部門が1人しかいない「ひとり情シス」の会社が増えているようだ。この状況には2通りの解釈ができる。そしてさらに深掘りしていくと……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.