ゴーン氏が「悪者」で西川社長が「男らしい」というおかしな風潮 前編:ゴーンショック(1/4 ページ)
ゴーン氏逮捕の真実は今後明らかにされていくだろうが、私的流用が多々あったことは間違いなさそうだ。しかし、そのような振る舞いをとめることができなかった役員にも責任がある。西川氏らほかの役員の責任はどう捉えたらいいのだろうか?
11月19日、日産自動車会長のカルロス・ゴーン氏が金融商品取引法違反の容疑で逮捕された。
グローバル企業の社長や会長を歴任した人物が、しかもプライベートジェットで来日したタイミングで逮捕されるという異常事態に、日本はもちろん世界中が騒然とした。
1999年、ゴーン氏はひん死に陥った日産へ合計8000億円の資金を注入したルノーから経営再建のために送り込まれた、今で言うプロ経営者だ。
大学卒業後にタイヤメーカー大手のミシュランで辣腕をふるい、31歳の時点で早くも南米ミシュランのCOO(最高執行責任者)に就任する。若くして経営の専門家としてキャリアを積んでいる。
1996年にルノーにヘッドハンティングされた後、1999年に日産のCOO、そして2001年にはCEOに就任した。大量の人員カットに工場閉鎖と、大胆なリストラを行うゴーン氏は蛇かつのごとく嫌われる一方で、倒産寸前の日産をV字回復させた立役者として名をはせる。それが今では金に汚く、私的流用を繰り返し、公私混同で会社のお金を横領した極悪人として扱われている。
果たしてこの見方は正しいのか。そして今回の問題は極悪人のゴーン氏が逮捕されて一件落着で終わるのか。今回のトラブルは大株主ルノーに対する日産のクーデターである、日産を吸収したいルノーの大株主・フランス政府が影で暗躍しているなど、陰謀論も飛び交っているが、あくまで経営責任に絞って考えてみたい。
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