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ゴーン氏が「悪者」で西川社長が「男らしい」というおかしな風潮 前編ゴーンショック(2/4 ページ)

ゴーン氏逮捕の真実は今後明らかにされていくだろうが、私的流用が多々あったことは間違いなさそうだ。しかし、そのような振る舞いをとめることができなかった役員にも責任がある。西川氏らほかの役員の責任はどう捉えたらいいのだろうか?

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西川社長の「異常」な記者会見

 19日、ゴーン氏逮捕の一報が報じられた日の夜、西川広人社長が横浜にある日産本社で会見を行った。

 「用意周到」とも言われた会見では、ゴーン氏が有価証券報告書に報酬額を少なく虚偽記載していたこと、会社の資金を私的に流用する案件が複数認められたこと、そしてこれらの案件について内部通報を元に数か月にわたり内部調査を行ってきたことなどが報告された。


会見にのぞむ西川広人社長

 会見では西川氏が一人で記者の前に立つ状況についても質問が飛んだ。一般的に調査担当者や弁護士が同席する不祥事の会見で、なぜ社長が一人なのか? と問われて、西川氏はできるだけ早く自身の言葉で伝える機会を作ったと答えている。

 会見については堂々としている、潔いといった評価する声も多数あったようだが、複数のメディアが謝罪の言葉が少ない、頭を一度も下げなかった、謝罪しているように見えないとも報じている。排ガスの検査データ改ざん問題では、9月の謝罪会見で姿も見せなかったのに、と皮肉まじりに書かれた記事もあった。

 会見の映像を見た人の中にも、自社の不祥事をまるで他人ごとのように話す西川氏の姿に違和感を覚えた人もいたようだ。この違和感については現場に居た記者も感じていたのだろう。なぜ一人で会見なのか、なぜ頭を下げなかったのか、などと書かれた記事にもそれが現れている。

 筆者もまた、まるで晴れ舞台で張り切るかのように会見を行う西川氏の姿を見て、彼は一体どの立場でモノをいっているのか? と強烈な違和感を覚えた。

 すでに多数報じられている私的流用は生々しいものも多く、全てがウソだとは思えない。次から次へと出てくる問題を見ていると、ゴーン氏がお金に汚くワキが甘いことは日産社内でも公然の秘密だったようだ(虚偽記載については後述)。しかし西川氏が会見で説明したように、それらが不正(横領)にあたる可能性があるのであれば、ゴーン氏の流用を何年にも渡って見逃してきた役員の責任はどうなるのか。

 特に代表取締役副社長としてゴーン氏の右腕と言われ、会見でも自らを「ゴーン氏の側近」と自認する西川氏が暴走を止められなかった責任は免れようがないはずだ。

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