「毎日コツコツと努力を重ね、ついに見えてきた夢」 AKB48・岡田奈々の信念:アイドルというキャリア(3/6 ページ)
小さいころから歌手になりたいと思っていた岡田奈々さんは、14歳でAKB48に入り、アイドルという仕事に就いた。プロとして働く中でさまざまな経験を積み、自らの生きがいや新たな夢を見いだしたという。
コミュニケーションは自然体で
どんな仕事であれ、欠かせないことの1つが「コミュニケーション」だ。岡田さんの場合、大勢のメンバーやスタッフ、さらにはファンとの対話も日常的である。コミュニケーションを取る上で意識していることはあるのだろうか。
「完璧すぎないことですね。他人と話すときに、誰しもが良い人でありたいと思うし、失敗しちゃいけないと思いがちですよね。けれども、逆に自分の弱点をちょっと見せることで、親近感が湧くし、腹を割って話せるようにもなります。まずは積極的に話し掛けにいったり、自分の素顔を出したりすることが、相手との距離を近づけるのかなと思っています」
自分から心を開かなければ、相手もそれに返してくれない。まずは自分自身をさらけ出すことが何よりも大事だと岡田さんは考える。「そうすると私もすごく楽ですし、ありのままでお互い話せるのが一番だと思うので、偽らず、自分をしっかり出していきたい」。
加えて、岡田さんが繰り返し使うのが「人間味」という言葉だ。とりわけ後輩メンバーやファンと接する上でより大事にするそうだ。
「普通なら後輩にいい姿を見せたい、カッコいいところを見せたいと思うわけですけど、それだけでは駄目で、人間味も出すようにしています。ファンの方たちにも自然体で接しています。握手会はファンの皆さんと直接コミュニケーションを取る一番の機会ですが、あえて取り繕わずに、かわいいアイドルでいようとするよりも、自然体の人間でいたいなと思っています。ファンとアイドルという関係性よりは、本当に同じ人間として、一人一人と向き合いたいのです」
立場に応じて態度や振る舞いを変えたりせず、一人一人を大切にする。これは岡田さんの仕事観にも通じる。仕事への心構えについて、岡田さんは「とにかく周りの存在に感謝し、当たり前のことを大事にしたいなと思っています。周りを愛せば、きっと自分も愛される存在になれると思うので、まずは自分があらゆるものに対して愛情をもって接していきたい」と話す。
こうした考えに至るのは、幼いころから愛情を注がれて育ったことで、人一倍、利他の精神が強いことがあるのかもしれない。しかし、それ以上にAKB48でのさまざまな経験、つまり楽しいときも苦しいときも多くの人たちに支えられた経験が、今の境地に導いているのだろう。
2018年1月に行われたソロコンサートの劇中に流れた映像メッセージで、岡田奈々という人間についてメンバー数人がコメントする場面があった。彼女が所属するAKB48 Team4のキャプテンだった峯岸みなみさんは「嘘」と表現した。これは平静を装って頑張りすぎてしまう、無理し過ぎてしまう岡田さんをよく知っていることからくる愛情表現だろう。このように岡田さんの本心をよく知る人たちに囲まれていることも岡田さんの心のよりどころになっているし、だからこそ、そうした人たちを自分も愛したいという気持ちがあるのだ。
関連記事
- 「何度失敗しても、私が前を向き続ける理由」 AKB48・岡田奈々の生きる道
真っ直ぐに頑張っている人が報われるように――。こうした思いを持ち続けて、日々奮闘する女性がいる。アイドルグループ、AKB48の岡田奈々さんだ。彼女の人生を紐解いていく。 - AKB48・岡田奈々のプレゼン術 あの名言はいかにして生まれたか
AKB48グループが年に1度開催する選抜総選挙。そのイベントの中で目玉の一つがメンバーによる壇上でのスピーチだ。ここに並々ならぬ思いを込めている岡田奈々さんはどのような姿勢でプレゼンテーションに臨んでいるのだろうか。 - 女子アナから働き方を変えた前田有紀さんがいま伝えたいこと
テレビ朝日のアナウンサーとして活躍した前田有紀さんは、入社10年という区切りの年に退社。そこからフラワーやガーデニングの世界に飛び込んだ。彼女自身の歩みを振り返りながら、いま、そしてこれからをじっくりと語ってくれた。 - AKB48選抜総選挙、沖縄開催の“本当”の理由
今週末に沖縄で「AKB48選抜総選挙」が開催される。同イベントは毎年大きな経済効果を生み出していて、今や地方の企業や自治体にとっても喉から手が出るほどのものになった。これまでは姉妹グループがある都市で開かれていたが、現状その条件に該当しない沖縄は“異例”。その舞台裏に迫った。 - 辛くても諦めず 「キャプテン翼」高橋陽一さんの漫画家人生
日本のサッカー界に大きな影響を与えた少年漫画「キャプテン翼」。作品のテーマである、諦めずに夢を追い続けることは、作者である高橋陽一さんの漫画家人生そのものである。 - 就活をやめてエストニアへ そこで私が確信した日本と世界のキャリア観の決定的な違い
普通なら就職活動真っ只中の期間である大学3年生の1月から大学4年生の6月までの約半年、就活を中断してエストニアに留学中の筑波大学4年生、齋藤侑里子さん。そんな彼女が現地で感じた、日本の就活への違和感、グローバルスタンダードなキャリアの築き方とは――。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.