「ワーケーション」ってどうなの? 家族で体験したビジネスマンに聞いてみた:沖縄・名護で2週間(3/3 ページ)
「ワーケーション」という言葉をよく耳にする。ワーケーションとは、「Work」(仕事)と「Vacation」(休暇)を組み合わせた造語だ。働き方改革の一環として政府などでは推進しているが、実際どうなのだろう? 沖縄で2週間体験したビジネスマンに話を聞いた。
課題は?
一方、課題に感じたのは、急な客先訪問などに対応できないほか、立ち話で済むような社内確認やトラブル時の緊急対応などの際に、その都度電話やWeb会議をする必要があった。また、滞在マンションで仕事をしていたため、普段は同じ空間に家族がおり、電話会議や業務に集中したいときには工夫が必要だったという。
仕事場として、実証実験の参加者は名護市役所が運営する「名護マルチメディア館」の一室を利用することが可能だった。ただし、滞在先からクルマで30分ほどかかることや、パーティションで区切られただけのオープンスペースであるため、電話やWeb会議がやりにくく、実用的ではないと平川さんは判断して使わなかった。
また、生活面での課題もあった。モノレールやバスなどの交通網が充実している那覇と異なり、名護で生活するにはクルマが必須。そのためのレンタカー代、さらには毎回の食費などがかなりかさんでしまったようだ。「自炊をする予定でいましたが、調味料から買いそろえる必要があり、2週間の滞在では無駄だろうと思い、結果的に外食が多くなってしまいました」と平川さんは振り返る。
全体を通じて見れば、業務をさほど問題なく行うことができた上、日常では味わえない環境で家族とともに生活できたことに、平川さんは満足しているという。その一方で、より大きな成果を生むためには、全社的な取り組みが重要ではないかと考える。
本稿ではある一人のワーケーション体験を紹介した。当然、会社も職種も人それぞれなので、これですべてを語ることはできない。今回の実証実験の詳しい結果を待ちたいが、平川さんをはじめ、参加者のワーケーションそのものに対する満足度は高いようだ。日常的な業務でテレワークを実践していることが大前提だが、そうした企業であれば、適切な人選を行い、スモールスタートでワーケーションを検討するのも良いだろう。
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