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消費増税、コンビニや酒屋のちょい飲みに混乱? 軽減税率でイートイン狂騒曲店頭では「なし崩し」で据え置きも……(2/3 ページ)

2019年10月に導入される軽減税率が波紋を呼んでいる。コンビニやスーパーのイートインの扱いが焦点。酒販店の角打ちコーナーも外食扱いで混乱を懸念。

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消費者がウソをついたら……

 一部ではコンビニのイートインが飲食禁止の休憩室扱いになるといった報道もあったが、「前提としてあくまでイートイン(食事目的)としての利用を想定している」(同協会)。当のコンビニ各社も「客に混乱が起きない対応を慎重に考えていく」(ローソン)などと、現状での歯切れは悪い。どう2種類の税率を店頭で使い分けるのか、そのための対応策などもあまり具体的に表明されていないのが現状だ。

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飲食料品に適用される軽減税率のイメージ(政府広報オンラインから引用)

 租税論が専門で軽減税率について詳しい神奈川大学経営学部の青木宗明教授は「コンビニだから(イートインで食べても)軽減対象に、というのは難しいだろう。誰も納得できない」とみる。「イートインというあいまいな存在があいまいでいられなくなったのが悲劇。別にコンビニのイートインで客は食事しなくてもいい。あくまで集客サービスだったのが、外食扱いにされている」(青木教授)。

 軽減税率が施行された場合、コンビニやスーパーの店頭ではレジの仕様変更などさまざまなコスト増が想定される。青木教授は、店員による客への「持ち帰るか店内で食べるのか」の意思確認が必要になると説明する。

 国税庁のガイドラインでは、コンビニの場合「イートインコーナーを利用する場合はお申し出ください」などと掲示をした上で意思確認を行えば、必ずしもすべての客への質問は必要ないとしている。ただ、青木教授は現場で実際に張り紙だけで意思確認の効力が出るか疑問視する。「(税率のごまかしが)法に問われるのは納税義務のある販売業者側」(青木教授)であり、口頭での意思確認は重要になるとみる。実際にドイツなどでは軽減税率徹底のため店頭での意思確認が進んでいるという。

【訂正:2018年12月14日午後8時55分 初出で、青木教授の発言が国税庁のガイドラインにある「コンビニで客への意思確認の質問は必ずしも必要ない」という内容を踏まえていないように誤解される表現があったため、本来の意図通りに該当箇所を修正しました。おわびして訂正いたします】

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軽減税率の適用・不適用の例(政府広報オンラインから引用)

 そこで問題になりそうなのが「消費者が虚偽の申告をした場合。法律は消費者がウソをつくことを想定していない」(青木教授)ことだ。実際に「持ち帰って食べる」と言ったのに、店内で食べてしまうようなケースも出るのではないかと見ている。「コンビニは従業員教育をきちんとやるだろうが、その通りに(現場で従業員全員が)やるとも思えない」(青木教授)。

 さらに青木教授の着目するのが、冒頭で挙げた角打ちのような個人商店のちょっとした飲食スペースだ。他にも観光地の饅頭販売店の中にある小さなイートインなど、多様なケースが存在する。個人店は店舗数が多すぎて大手チェーンと違い一律に通達もできず、いちいち税務署が指導するには膨大な手間がかかる。「法律的には(8パーセントだと)アウトだが、果たしてそこまで取り締まることができるのか」(青木教授)と、なし崩し的に増税が徹底されない可能性も指摘する。

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