ファミマで「帝京平成大学のココがすごい!」 人気声優CMに秘められた大学戦略:「碇ゲンドウの中の人」が叫ぶ(1/2 ページ)
ファミリーマート店内で流れる帝京平成大学の声優CMが話題だ。地方の高校生からだんだん志願者が出てくるようになっており、全国区での知名度アップを狙う。
「帝京平成大学のココがすごい!」「帝京魂!」。ファミリーマートの店内で、ダンディな美声で連呼される大学名が耳になじんだ人もいるのでは。大学の魅力をテンポよくしゃべっているのは、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の碇(いかり)ゲンドウ役や、「銀魂」の長谷川泰三役などで知られる声優の立木文彦さん。ネット上で話題になったこの音声CM、実は学生獲得のための大学側のある工夫が隠されていた。
知名度は数十%止まり
帝京平成大(東京都豊島区)がファミリーマート店内でこうしたCMを始めたのは2017年から。当時からクールな男声が話題になっていた。声優名は「公開していない」(帝京平成大入試課)が、特徴のある声から「ONE PIECE」のロロノア・ゾロ役などで知られる中井和哉さんではないかとネット上ではうわさに。18年からは立木さんが2代目を務めるようになった。
大学が受験生を獲得するため、若者受けする人気声優を起用するという戦略は分りやすい。特に、帝京平成大は1987年に設置された比較的若い大学だ。
ある人材会社が2017年に高校生に行った調査では、帝京大の知名度が7割を超えたのに対しこちらは数十%止まり。「知名度アップがうちの命題。だからファミリーマートでこのCMを始めた」(入試課)
志願者数はCMを始めていなかった2年前が1万4400人で、現在では1000人ほど微増。「CMが数字につながっているかまだ実感はない」(入試課)が、志願者の中身が少しずつ変化してきた。47都道府県から資料請求が来るようになったのだ。キャンパスは東京都心と千葉県にしかない。「CM開始前はこんなことはなかった。地方からの志願者も増えたと感じる」(入試課)
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