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“ワクワク”働けない日本の働き方改革に欠落している「QoW」とは?ここが変だよ、日本の「働き方改革」(1/4 ページ)

モノもサービスも、実際に欲しい、買いたいと思ってもらえるようにするためには提供する側の高いモチベーションが欠かせないということだ。では、そのモチベーションはどこから来るのかというと……。

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 「公務員も立派なサービス業だ。君がその政策に納得していないのであれば、付き合わされる民間企業の人が気の毒と思わないのか?」

 経済産業省の官僚時代、上司にこのように問いただされて、虚を突かれた経験がある。2つの点について指摘されたからだ。

 1つ目は、公務員=サービス業という認識である。公僕であることは理解していても、日々難しい議論を重ねたり、民間企業の方から丁重に対応していただいたりすると、国民や産業界に「奉仕する」という基本姿勢を逸脱してしまう。そうした自分に気付き、反省した。

 2つ目は、サービス業では提供する側が前向きな気持ちを持って顧客と接しなければ、サービスの顧客満足度は高まらないという原理である。

 約15年前に通ったビジネススクールでは、スターバックスがケーススタディとして取り上げられ、働くことに充実感を持っている従業員がプライドを持って顧客に接していることが、サービス品質を高めるために重要であることを教わった。パートタイムも含めた従業員がこの店舗で働けていることが嬉しい、毎日おいしいコーヒーを提供したい、と思えなければ、顧客が頻繁にお店に通おうとは思ってくれないのだ。

今、あなたは生き生きと働いているだろうか?(写真提供:ゲッティイメージズ)
今、あなたは生き生きと働いているだろうか?(写真提供:ゲッティイメージズ)

 4年ほど前に“カワイイ”電気自動車の会社を立ち上げ、実際にものづくりに挑戦するようになると、サービス業に当てはまる原理は、実はものづくりにも当てはまるのではないかと思った。自分自身がその商品をどうしても欲しいと思えること、設計されたデザインやパーツを見てワクワクすること、寝食を忘れてチームメンバーと企画構想にのめり込んでいくこと、そういうことが積み重なっていかなければワクワクする商品は生まれない。

 結局、モノにもサービスにも共通して言えることは、最低限の機能は必要だが、実際に欲しい、買いたい、買って嬉しいと思ってもらえるようにするためには提供する側の高いモチベーションが欠かせないということだ。

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