2018年に乗ったクルマ トヨタの「責任」とスズキの「義務」:池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/5 ページ)
この1年間に試乗したクルマで、特筆すべきクルマが6台ある。今回はトヨタのクラウン、カローラ・スポーツと、スズキのジムニーについて言及する。
トヨタ・カローラ・スポーツ
カローラのシャシーは、TNGA第1弾として現行プリウスで登場したシャシーである。このシャシーはプリウス以来、新型車に投入されるたびにレベルアップを遂げてきた。カローラ・スポーツでは舵角を入れた後の身ごなしが素晴らしく、まさにスポーツと呼ぶにふさわしい。
ところが、直進付近は同じレベルでは褒められない。及第点は十分に取れるものではあるが、舵角の入った時の鮮烈な印象とはだいぶ差がある。具体的には、路面の不整を拾ってチョロチョロする。どっしりと落ち着かない。Bセグメントのヴィッツならこれでも良いかもしれないが、乗りだしで300万円に届くクルマだと思うと、ためらいを感じる。クルマは真っ直ぐ走る時間が最も長いのだ。
しかし、現在も継続販売中のカローラ・フィールダーと比較すると、それはもう格段に素晴らしい。月とすっぽん。クラウンもカローラ・スポーツもそうなのだが、旧モデルとの比較において圧倒的な成長を遂げている。しかし、それが同時に無条件に推薦するところまでには届かないことが難しい。どちらも良いクルマだが、他を圧するところまではいっていないのだ。
しかし、それでも今年の1台としてクラウンとカローラ・スポーツを挙げるのは、「トヨタだから」で買った人の幸せが満たされるものには十分なっていると思えるからだ。その功績はないがしろにして良いものではない。
ちなみにベストバイはハイブリッド。カローラに限らず、ダウンサイジングターボは、やはり限られた用途向きであって、あらゆるシーンで能力を発揮するものではない。過給によって低速トルクを上げ、燃費の良い回転数を多用して巡航燃費を稼ぐものだ。そのモードを外れると燃費がガタ落ちする。筆者には新燃費基準(WLTP)の時代を迎えるに当たって、そろそろ終わりを迎える技術に見える。
参照記事:あなたはカローラの劇的な変貌を信じるか?
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