湖池屋スコーンは「若者のスナック離れ」にどう立ち向かうのか:ブランドの“老朽化”防ぐ(1/3 ページ)
湖池屋がスナック「スコーン」を2月に刷新。商品自体を改良するほか、高校生に的を絞りマーケティングする。若者のスナック離れを食い止め新規顧客を開拓。
「スコーンスコーン♪」と軽快なフレーズに合わせて人々がダンスするテレビCM、覚えている人も少なくないのでは。かつてそんな宣伝で話題になったロングセラーのスナック菓子「スコーン」を、湖池屋が2月に刷新する。パッケージ商品の中身も大幅に変更し、ターゲットを明確にしたマーケティングの新施策も始める。
よく菓子業界で需要が先細る要因として挙げられるのが少子化だ。しかし湖池屋が今回スコーンを新たに売り込むのは高校生、つまり減っていくはずの若年層になる。アイスなどの“プチ高級”路線で大人向けに活路を見出だした菓子メーカーも少なくない中、湖池屋の取り組みは新施策とも、ある意味原点回帰ともいえる。スコーンを高校生に売り込む狙いを追った。
スナック市場は「ポテトチップス1強」
湖池屋のスコーンは1987年発売でトウモロコシが主原料のスナック。特徴的なテレビCMが話題となった80年代後半から90年代前半に最も売れたが、現在の売り上げは年間約30億円とピーク時の6〜7割程度まで落ち込んだ。
ジャガイモ、小麦、トウモロコシ、大豆にコメとさまざまな原料の商品が存在するスナック業界だが、実はポテトチップスの1強状態が続く。同社などの調査によると、2017年の袋入りポテトチップス(成型ポテトを除く)市場は450億円強と、北海道でジャガイモの不作が起きて生産が滞った16年を除いてほぼ横ばい。一方、その他の袋入りスナックは、すべて合計しても17年で400億円を割っている。08年に比べ100億円以上減少した。
湖池屋でスコーンのマーケティングを担当する内田圭亮さんによると、16年の「ポテチショック」直後、スコーンなどその他のスナックの売り上げは一時的に上がったが、少したつと逆に下落した。むしろポテトチップスの方が盛り返す結果になったという。
老舗ブランドの“老朽化”問題
海外ではトウモロコシ原料のスナックも人気だが、日本の消費者の間ではどうしてもスナック=ポテトチップスのイメージが根強い。加えて「非ポテト」スナックが停滞している理由として内田さんが挙げるのは、ロングセラー商品の宿命ともいえるブランドの“老朽化”だ。
主に若者が食べているイメージのあるスナックだが、スコーンの現在の主要ユーザーは35〜45歳。ちょうど冒頭で紹介したCMが流れていた1980〜90年代に子供時代を過ごした層が該当する。ただ、このCMは97年に放送終了している。
湖池屋が2017年に調査したトウモロコシ系スナック市場における世代別の喫食頻度では、スコーンは30代で他のブランドを引き離しトップとなった。ただ、10代では4位、20代も5位と落ち込んでいる。例のCMを生で見ていない世代だ。
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