注目の「カスタマージャーニーマップ」でユニクロを分析 “顧客視点の想像力”を鍛えよう!:ビジネスに役立つフレームワークを知る(1/5 ページ)
顧客の価値体験プロセスを可視化する手法「カスタマージャーニーマップ」が注目されています。実際に作成してうまく活用するには、どうしたらいいのでしょうか。大手企業を分析しながら解説します。
「カスタマージャーニー」という言葉をご存じでしょうか。顧客のライフスタイルが多様化している今、顧客への価値提供やコミュニケーションを考える際に重要な存在として、注目を浴びている考え方の一つです。
今回はその考え方と、実際に現場で活用する際の手法である「カスタマージャーニーマップ」について、大手企業のビジネスを分析しながら、手順をご紹介します。ベストセラーとなった『ビジネスフレームワーク図鑑』(翔泳社)にも収録されている手法を、より詳しく解説していきます。
「カスタマージャーニーマップ」が注目されるワケ
人はどのようにモノやサービスを購入するのか。あるいは、なぜモノやサービスを購入するのか。これは世の中のビジネスパーソンが考え続けている、永遠の問いです。調査をすれば、ある程度の予測はつくかもしれませんが、単にデータを集めるだけでは顧客の心に届く施策を生み出すことは難しいでしょう。顧客の気持ちをくみ取り、かゆい所に手が届く施策を打っていくためには「顧客視点の想像力」が欠かせません。
この想像力を向上できる手法として「カスタマージャーニーマップ」が最近注目されています。これは、顧客(アプローチしたいターゲット)の価値体験プロセスを「旅(ジャーニー)」になぞらえ可視化する手法です。
商品・サービスの購入など、ビジネス上のゴールを設定し、顧客がそこに至るまでの行動や思考、心理を可視化します。それらの情報をマップ状に整理したものが「カスタマージャーニーマップ」です。可視化した顧客の行動や思考に合わせて、マーケティング施策の提案やコンテンツの制作、接客、サポートなどコミュニケーションに必要な各施策の指標設計を行います。
では、なぜ今、カスタマージャーニーマップが求められるのでしょうか?
その理由の一つとして、スマートフォンやインターネットの普及に伴い、企業が提供する価値と顧客との接点が多様化したことが挙げられます。一方的にマスなマーケティングや広告を仕掛けるだけではなく、個々の顧客の置かれた状況に寄り添った、顧客目線のコミュニケーションがより一層求められるようになっています。そのためには、顧客像の明確化と、顧客が取っている行動の可視化が必要不可欠です。
顧客の複雑な行動や思考を可視化し、顧客目線を獲得するための手法の一つが「カスタマージャーニーマップ」なのです。
今回は、アパレル事業を例に挙げ、カスタマージャーニーを活用した分析、カスタマージャーニーマップの作成手順を見てみましょう。
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